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資金はどこから調達するか?

スタートアップが盛り上がっているような若干バブル気味な状況になると、必ず話題になるのが資金調達の話しです。

お金が出回っていること自体は良い話なんですが、ちょっと危険なのは、どこがどのVC(或いはどのエンジェル)からいくら調達したか、なんて話しを日々聞くにつれ、起業したらまずVCやエンジェルから資金を集めるのが当然で、自分達も当然そのように資金調達できるはずだと思ってしまうことです。特に日本から見ていると、シリコンバレーでは皆がそうしている、という印象を受けるかもしれません。

が、そんなことはありません。

一番大きな資金の調達元は、ファウンダーの貯金や事業のキャッシュフローといった自己資金です。下の動画でPaul Kedoroskyがいくつか数値を出しています。

これによると、アメリカでの「若い企業」の50%以上が自己資金だけでなりたっていて、次に多いのがクレジットカードによるローン、友達や親戚、と続くと。で、最も急成長している部類の企業のうち20%以下がVCから資金を調達したことがある、という状況だとのことです。

この数値のソースや詳細は分からないのですが、スタートアップやシリコンバレーに限った話しではなく、そもそもVCなどの外部資金向けではないビジネスも含まれていると想定されます。ですので、シリコンバレーのいわゆるガンガン行きたいスタートアップに絞った場合、数値は異なる可能性は十分にあります。ですが、そうであっても、VCや最近大活躍のスーパーエンジェルなどのいわゆる「プロのお金」の投資を受けるというのは、かなり確率が低いということはぜひ心に留めておいて頂きたいと思います。

個別の状況によるので、早いうちに資金調達をするな、と言うつもりは無いのですが、ベターなタイミングというのはあると思います。ご存知の通り起業は安くなりましたし、スマートに目的に近づくことがより当たり前になってきていますから(Lean Startupなどの概念がこれにあたりますが、この件についてはまた別途詳細に書きたいと思います)、事業を始めるためにお金を集めるというよりは、まずは自分達で進めていって、芽が出て流行ってきたところで「プロのお金」が入ることが、実際多くなっています。これは起業家にとって最も勝ちパターンですし、投資の面からみても効率的です。

検証されたアイディア・方法に対して、それを成長させるために資金をどかんと投下することができますし、リスクを軽減していることと需要と供給のバランスから起業家にとってより優位な条件で調達が出来ます。このステージでは如何に競争に勝つかということが重要になる場合が多いですから、どこから集めるにせよお金がかなり必要になります。もちろんケースバイケースですが、ある段階では、「これまで自己資金でやってきたから」と頑固になって他企業の資金力に劣ってしまうのではなく、外部から十分に資金を取り入れるというのも一考です。

この辺りの話し、何となく昔書いたことがあるような気がしたら、やっぱりありました。アングルは違いますし2008年の時点ではありますが、今でも以前有効なことだと思うので、興味があればぜひこちらも見てください。→初期の資金調達で押さえておくこと

資金にはコストが付随します。これは日本とシリコンバレーでかなり温度差がある部分のように思いますが、シリコンバレーで「プロのお金」を入れるということは、それなりの期待値に添った行動をすることであり、ファウンダーの首も含めて、コントロールとの引き換えになります。それは物を(あまり強く)言わず権利も少ない投資家がいる状況、及び銀行などからのローンとの決定的な違いですので、当地で資金調達を考えるのであれば、しっかり肝に銘じておく必要がありますのでご留意を。