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スタートアップの成功はTシャツから

おしゃれな日本の皆さんにとってはちょっと不思議かもしれませんが、当地スタートアップでは、基本のスタイルはTシャツです。(特にエンジニアの方々)

何の変哲もないものや卒業した大学のものから、小ジャレたメッセージ性の高いものまで様々ですが、スーツやビジネスカジュアルに反して、Tシャツで仕事に行けるというのは、まあ自由なスタートアップカルチャーの一部なわけです。

で、そのTシャツですが、「自社Tシャツを作ることが実はすごく重要」という話を最近読んだので紹介します。LinkedInなどを経てきたAdam Nashはブログで5つの理由を述べてます。以下要点を抜粋して、コメントを付します。

1.Empowerment (エンパワーメント)

Giving out t-shirts tells your employees, implicitly, that you get it.  You hire only the best, and the best can wear whatever they want.  It says you know that you value merit over appearance; a working prototype over an MBA.

会社が社員の優秀さを評価しており「見た目より実」な価値観を共有している、ということを暗に示すことができる。

2. Incentives (インセンティブ)

Let me just tell you, free t-shirts evoke some sort of primal response at a high tech company.  …..

You’d be shocked at what a $200 per person per year budget for t-shirts will do for employee morale comparatively.

同様の額のものを現金や他の物であげると返ってマイナスなこともあるが、Tシャツはとにかく喜ばれる。一人につき年間$200のTシャツ予算が従業員のモラルに与える影響は計り知れない。

3. Tribal Cohesion(同族の結束)

It may sound subversive, but t-shirts can provide many of the same benefits of camaraderie and tribal cohesion that uniforms did, without the top-down oppression.

制服には自由には相容れないが仲間意識を与える利点があるのは確か。Tシャツは(色やデザインなどバリエーションがあるので)押し付けの制服にはならず、その良い点を享受できる。

4. Tenure Based Seniority (在職期間による序列)

High tech companies are largely meritocratic, and as they grow they tend to define roles based on skills & experience rather than “time at the company”.  However, there are positive aspects to rewarding those who have “bled for the company” over the years, and put their hearts and souls into building the business.  T-Shirts, in an innocuous way, implicitly do this by almost always becoming “limited editions”.

基本的に実力主義でポジションは年数に関係ないが、時に厳しい立ち上げの時期から支えてきた古株に敬意を示すのは良いことだ。それはTシャツを機会ごとに「限定」でつくることで、暗に達成できる。例えば今では数百人の規模に成長したが、数年前のVersion 1.oローンチを記念したTシャツはそれを牽引した10人しか持っていない。それは新入りには羨望に値するもので、古株はプライドを感じる。

5. Branding (ブランディング)

While being careful not to interfere with the uniqueness of shirts given to employees, make shirts for your developers, your fans, your early adopters.  Long before they become vocal advocates for your brand, they will gladly showcase it if you let them.

自社や自社製品が好きな人たちは、何の制限もかけなければ、頼まないでも自社を勝手に宣伝してくれるありがたい存在だ。Tシャツをあげれば、喜んで各所で着て宣伝してくれる。上記4の理由から社員用のものとは別のものにする必要があるが、外向けのTシャツもガンガン作るべし。

どうでしょう。Tシャツをつくるコストは低いですが、その恩恵はかなりのもの。皆が着たくなるようなデザイン、色彩にすることで、その効果は更にアップします。会社のロゴが入った1パターンのものではなくて、限定品でたくさんつくる、というのは確かに良いですね。

スタートアップには良いチーム・組織作りが欠かせません。デザインや質にはちょっと手間もお金もかけて、欲しいと思われるものを様々な機会限定やチーム限定で作ってみるのは、すぐに実行できるなかなか良いアイディアなのではないでしょうか。ぜひお試しあれ。

では今日はこの辺で。

 

 

 

【Keyword】プロダクト/マーケット フィット

シリコンバレーのスタートアップ界隈で良く使われる(ようになってきた)重要な言葉や概念で、あまり日本では言われていないようなものについて、時折紹介しようと思います。分かりやすいようにタイトル上部にKeywordとつけておきますね。

第一弾の今日は、Product/Market FitまたはProduct-Market Fit、略してPMFということもあります。文字通り、製品と市場がフィットしているということなのですが、きちんと理解して実際に適応するには結構難しいものです。この言葉はかのMarc Andreessenが案出したと言われているもの。まずは彼の定義を引用します。

Product/market fit means being in a good market with a product that can satisfy that market.

つまり、良い市場を狙っていて、且つ、その市場を満足させることができる製品を持っている、という状態なわけです。更に、スタートアップの一生はPMF前とPMF後に分けられるとし、まずはそのフィットに到達することが、スタートアップにとっては何よりも重要だとしています。

ではこのフィットに達したかどうかをどのように見分けるのかというと、これがなかなか難しい。というか、明らかに達した場合は感覚で分かります。毎日ユーザー数がものすごく増えたり、どんどん売れて製造が追いつかなかったり、というイケイケな状況です。一方で、どれだけ到達に近いかを知るのは難しいですし(これに関する試みや考察はいくつかあるのでまた後日)、到達していない場合は色々と上手く行っていないのだけれど、このフィットに達していないことが理由だと認識できてない場合が多いです。

例えばフィットに達していない時の症状としては、そこそこユーザーや顧客もいるのだけれど、なかなかぐんと伸びないとか、口コミで広まらないとか、セールスに時間がかかりクローズしないとか、なんだかいけていない状況の数々が上げられます。こういう状態だと、往々にして、営業とかマーケティングの人たちが非難されることが多いのですが、実はそもそも製品と市場がフィットしていないから、むりやりトップラインを伸ばそうとしてもザルになっていて出来ないんですね。もしそういう状況があれば、特定部署を責めるのではなく、またフィーチャーをいじるのではなく、じっくり製品と市場を見直すことをお勧めします。

ではどのようにしてフィットに達するかというのは、それこそが勝負なわけですが、それを効率化する方法の一つがlean startupであったりcustomer developmentなのです。

上手くいっているスタートアップはどこもProduct/Market Fitに達しています。事後でしか分かりにくいという難点はあるのですが、非常に重要な概念ですので、抽象的な表現で分かりにくい場合は、成功例をいくつか見てみるのが良いかと思います。

—-<お知らせ>—-

お盆後なのでもう一度宣伝しちゃいます。前回のエントリーで書きましたが、こういうシリコンバレー・スタートアップネタの収集と英語学習を一石二鳥でおこなうプログラムをやりたいと思っています。詳細は↓で。

Startup English Hacks