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未来を創りそうな人による未来予想

誰が言ったか忘れてしまいましたが、かなり前に、「Larry Ellisonの予測が当たるのはなぜか分かるか?それは、予測として言ったことを自ら実現してしまえる立場にあるからだ。」というのを聞いたことがあります。

これは言い得て妙だな、と。

将来像を実現するために買収をがんがん仕掛けたり、必ずしも予測通りにものごとが普及しなくても、マーケティングによってそれが盛り上がっているように世論を動かす、というのはテクノロジー業界大手がよくやる手法ですね。

スタートアップでは、有名な人が自分の信じることを新たなスタートアップを作って実現したり、投資することで実現に寄与したり、ということが繰り返されます。

こういう企業や個人はある意味未来をつくってしまうわけですね。

通常単なる未来予測は興味がないのですが、こうした未来を実際につくれそうな人による予測、というものはウォッチするべきだなと思う次第です。

先日のNew York Timesにがちんこの記事がありましたので紹介します。予測はMarc Andreessen(最もホットなVC。ネットスケープで有名)、Reid Hoffman(VC。LinkedIn。PayPalマフィア。)、Clara Shih(Hearsay SocialのCEO)、Peter Thiel(Facebook等の投資家。PayPal創業者)、Sebastian Thrun(Googleの自動運転カーなどで有名)、Ev Williams(Twitter、Blogger創業者)、Susan Wojcicki(YouTubeのトップ。Googleに最初にガレージ貸した人。)によるものです。なかなかのスター揃いですね。

かなりぶっ飛んだものから凡庸なものまでいろいろありますが、以下質問項目とそれぞれひとつだけ回答を意訳して抜粋します。興味のある方はぜひ原文を参照して下さい。

1.現時点ではまだまだ先のテクノロジーで10年後には普通になっているものは?

大量のドローンがあらゆる理由で飛び交っている。トップレベルの大学教育を物理的なキャンパスに行かずして得られる。車は人でなくコンピューターによって走行する。(by Marc Andreessen)

2.テクノロジーが次に廃業に追い込む業界は何か?

車の運用関連。ドライバー、修理業者、パーツ屋、自動車保険。(by Clara Shih)

3.10年後に古臭くなっているテクノロジーは?

(あらゆる種類の)鍵。(by Sebastian Thrun)

4.次に世の中の受け止め方に大きな変化があるものは?

アメフト。あまりにも危険ということが広く認知されて終焉。(by Peter Thiel)

 

では今日はこの辺で。

 

著名なVCやエンジェルから投資を受ける珈琲屋さん

サンフランシスコ発のグルメコーヒー屋さんの一つにBlue Bottle Coffeeというのがあります。(本社地は対岸Oaklandですが)

2005年に最初のお店がオープンし、それは当時住んでいた家から徒歩5分ほどのところで、Hayes Valleyの目抜き通りのちょっと手前にある確かデザイン会社かなんかのガレージを改造したお店でした。お店といってもカウンターごしにコーヒーを買うだけで、座るところは道端くらいなものでした。

お洒落で凝っていて美味しく、当時は近かったので週末に散歩がてら足を運んでいましたが、正直こんなに成長するとは思ってもいませんでした。今ではサンフランシスコ市内に5店舗、ニューヨークに5店舗あり、サンフランシスコの他のカフェでもBlue Bottleの豆を使うところも増えましたし、何よりもTwitterをはじめとするスタートアップの多くで社員に提供されています。

で、このBlue Bottle、本日$25.75Mの資金を調達しました。2012年の終わりごろにも$20Mを調達していて、今回が2度目です。チェーンとして拡大するにはお金必要だよね、というのはわかるんですが、驚きなのは投資家の顔ぶれ。どこぞのホットなスタートアップだろうと思わんばかりのVC、エンジェル/起業家のオンパレードなのです。

VCではIndex Ventures, Google Ventures, True Ventures, Morgan Stanley Investment Management (fund) などが投資しており、個人ではInstagramのKevin Systrom、Twitter/MediumのEv Williams、WordPressのMatt Matt Mullenweg、Uber/StumbleUponのGarrett Camp、FlickrのCaterina Fake、SuccessFactorsのLars Dalgaardなどが投資しています。

VCがこういうビジネスにお金を出すことはない訳ではありませんが、IndexとかGoogleとかちょっと毛色があまりに異なるという感じがぬぐえません。2005年以降毎年50%成長だそうなので、ビジネス的に上手くいっているというのはありますが、ここまでシリコンバレー的な人々の支持を得るというのは、多分皆さん個人的にとってもファンなんだろうと思われます。

この手のグルメコーヒーはいまやブームとなっており、第三の波ともいわれています。その典型的な顧客層がテクノロジースタートアップ関連の人々だったり、デザイナーさんとかアーティストとかお洒落系な人々です。特に昨今のスタートアップでは食事やコーヒーつきのところが多いこともあり、ハイエンドなコーヒーとの関係が強いです。一昔前はエンジニアにはピザとビールって感じだったのが、今はオーガニックのサラダにグルメコーヒーって感じなのです。あくまでもイメージ論ですけどw。

実質的に美味しいということに加えて、デザインのセンスの良さだったり、豆のソーシングへのこだわりや機材への異常なまでのこだわりとか、一杯ずつ5分くらいかけてつくったりとか、そういう「製品へのこだわり」みたいなものがスタートアップ関連の人々のハートを捕らえているという説もあります。

こういうカルト的なものって、大きく展開すると魅力を失ってしまうことが多いですが、さてこのBlue Bottle、そうならずに全米展開できるでしょうか。

ちなみに、サンフランシスコのほかのグルメコーヒーには、 RitualFour BarrelSightglassなどがあります。なおSightglassにはJack Dorseyが投資してます。

サンフランシスコにお越しの際はぜひお試しあれ。

では今日はこの辺で。