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著名なVCやエンジェルから投資を受ける珈琲屋さん

サンフランシスコ発のグルメコーヒー屋さんの一つにBlue Bottle Coffeeというのがあります。(本社地は対岸Oaklandですが)

2005年に最初のお店がオープンし、それは当時住んでいた家から徒歩5分ほどのところで、Hayes Valleyの目抜き通りのちょっと手前にある確かデザイン会社かなんかのガレージを改造したお店でした。お店といってもカウンターごしにコーヒーを買うだけで、座るところは道端くらいなものでした。

お洒落で凝っていて美味しく、当時は近かったので週末に散歩がてら足を運んでいましたが、正直こんなに成長するとは思ってもいませんでした。今ではサンフランシスコ市内に5店舗、ニューヨークに5店舗あり、サンフランシスコの他のカフェでもBlue Bottleの豆を使うところも増えましたし、何よりもTwitterをはじめとするスタートアップの多くで社員に提供されています。

で、このBlue Bottle、本日$25.75Mの資金を調達しました。2012年の終わりごろにも$20Mを調達していて、今回が2度目です。チェーンとして拡大するにはお金必要だよね、というのはわかるんですが、驚きなのは投資家の顔ぶれ。どこぞのホットなスタートアップだろうと思わんばかりのVC、エンジェル/起業家のオンパレードなのです。

VCではIndex Ventures, Google Ventures, True Ventures, Morgan Stanley Investment Management (fund) などが投資しており、個人ではInstagramのKevin Systrom、Twitter/MediumのEv Williams、WordPressのMatt Matt Mullenweg、Uber/StumbleUponのGarrett Camp、FlickrのCaterina Fake、SuccessFactorsのLars Dalgaardなどが投資しています。

VCがこういうビジネスにお金を出すことはない訳ではありませんが、IndexとかGoogleとかちょっと毛色があまりに異なるという感じがぬぐえません。2005年以降毎年50%成長だそうなので、ビジネス的に上手くいっているというのはありますが、ここまでシリコンバレー的な人々の支持を得るというのは、多分皆さん個人的にとってもファンなんだろうと思われます。

この手のグルメコーヒーはいまやブームとなっており、第三の波ともいわれています。その典型的な顧客層がテクノロジースタートアップ関連の人々だったり、デザイナーさんとかアーティストとかお洒落系な人々です。特に昨今のスタートアップでは食事やコーヒーつきのところが多いこともあり、ハイエンドなコーヒーとの関係が強いです。一昔前はエンジニアにはピザとビールって感じだったのが、今はオーガニックのサラダにグルメコーヒーって感じなのです。あくまでもイメージ論ですけどw。

実質的に美味しいということに加えて、デザインのセンスの良さだったり、豆のソーシングへのこだわりや機材への異常なまでのこだわりとか、一杯ずつ5分くらいかけてつくったりとか、そういう「製品へのこだわり」みたいなものがスタートアップ関連の人々のハートを捕らえているという説もあります。

こういうカルト的なものって、大きく展開すると魅力を失ってしまうことが多いですが、さてこのBlue Bottle、そうならずに全米展開できるでしょうか。

ちなみに、サンフランシスコのほかのグルメコーヒーには、 RitualFour BarrelSightglassなどがあります。なおSightglassにはJack Dorseyが投資してます。

サンフランシスコにお越しの際はぜひお試しあれ。

では今日はこの辺で。

 

役職が組織からなくなる日

明けましておめでとうございます。今年も1年どうぞお付き合いくださいな。

更新を怠っている間に妙に流入が多いと思ったら、スタートアップのCFOが読むべきブログまとめに入れて頂いたようで…ありがとうございます!組織・資金調達に分類されていたので、今年は組織の話からスタートしましょう。

オンライン靴屋のZapposは、徹底したカスタマーサービスや楽しいカルチャーで知られていますが、今年は組織構成についても面白い取り組みを始めるようです。いわば自制組織のHolacracyという仕組みを取り入れ、一般的な意味でのマネージャーを無くし、2014年中には全社でロールアウトし(少なくとも社内的には)あらゆる役職をなくしてしまう計画とのこと。

このHolacracyはBrian Robertsonという人が提唱している方法論で、従来のトップダウンまたはボトムアップといった予め決められたヒエラルキーに沿った組織ではなく、会社が必要とするタスクに応じて自制のサークル(チーム)を結集するというもの。結構複雑なんですが、私の理解するところでは、アジャイル時代のプロジェクトベースのマネージメントってところでしょうか。

サークル(チーム)を構成したりリードしたりは発生するので、マネージャーが役職として無くなるにしても、そういうロール(役割)をする人はいるわけで、それほどフラットではないような気がしますが、それでも業績をマネージすることとスタッフのキャリアをマネージするということが分離されるのは良いかもしれませんね。でも、給与体系とかはどうなるんでしょうねー。

こういう考え方自体は様々な呼ばれ方で多分20年以上前からあることなんだと思います。思い返せば、私が大学卒業後就職したコンサルティング会社は、通常属するチームというものがなくて、プロジェクトベースで結集される仕組みだったんですが、大きな組織では効果的に機能しているとは言えないと思いました。特に最初の頃は知り合いも少ないので、いわば社内リクルーターである人事の人に連絡を取り合って常に社内でレジュメもって売り込んでなきゃいけない、という状況でしたし、その後も同じリーダーが誘ってくれるプロジェクトが必ずしも自分の方向性とあっているかというと、そうとも言えず…。もう少しできるレベルになっていれば活用の仕方もあったとは思いますが、若輩者には難しかったですね、実際。

まあ、ここで言っているタスクとかサークルというのはもっと小規模なんだと思いますが、インプリがどうなるか、興味津々です。実はこのHolacracyを既に採用しているところには、Blogger/Odeo/Twitter共同創業者であるEvan Williamsの新しいスタートアップ、Mediumがあります。スタートアップだと、こういう一定の能力の人からなる組織におけるアジャイルな方法、というのは結構ありだと思いますが、今のZapposの規模は1500人。ここまでスケールできるのか、というのが面白いところ。

いずれにしても、Evan WilliamsとTony Hsiehのご両人が関心を寄せている組織論、というのは只者ではないはず。これから追随するところも増えてくるのではないでしょうか。注目しておきましょう。

では今日はこの辺で。