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生活のアウトソースによる時間の確保

どうも。予告通り、アウトソースの話を。といっても、企業が開発の一部や製造のアウトソースをするという話ではなくて、個人が必ずしも自分でやる必要のない煩雑な作業や事務的作業を他人にお手伝いしてもらい、自分の時間を作り出すという話。

確かに企業がインドや中国にアウトソースをして効率化を図っているわけなので、それを個人の生活に取り入れるというのはロジカルではあるのですが、実際にそういうサービスがオフショアのアウトソースとしてあるなんて、知りませんでした。

The 4-Hour Workweekでは、AJ JacobsというEsquireの編集者がそういったインドのバーチャルアシスタント(VA)を雇う実験をつづった記事が紹介されています。リサーチなどの基礎的仕事や秘書的なことを主に請け負うBrickworkと、私的な用事を主に請け負うYMII(Your Man in India)の2社と契約して、雑誌の記事のネタ探しや調査に始まり、息子へのプレゼントをインターネットで比較購入してもらう等、色々な用件を試してみるわけですが、これがすごい。細かい指示を与えなくても、仕事のできが的確で、早く、しかも心配りが素晴らしい。例えば、日常の人とのちょっとしたもめごとは精神的にも時間的にもかなりの負担がかかるものですが、この実験で彼はVAに奥さんとのちょっとした言い争いの解決をしてもらいます。

まず、メールで簡単に状況を説明してやんわりと依頼します。

Hello Asha,
My wife got annoyed at me because I forgot to get cash at the automatic bank machine. . . . I wonder if you could tell her that I love her, but gently remind her that she too forgets things — she has lost her wallet twice in the last month. And she forgot to buy nail clippers for Jasper.
AJ

これだけの指示ですが、翌日の朝、さっそくVAから奥さんに(CC:当記者)メールが送られます。

Julie,
Do understand your anger that I forgot to pick up the cash at the automatic machine. I have been forgetful and I am sorry about that.
But I guess that doesn’t change the fact that I love you so much. . . .
Love
AJ
P. S. This is Asha mailing on behalf of Mr. Jacobs.

しかも、VAは奥さんに当ててe-グリーティングカードも別送。(熊が抱き合ってる絵に”Anytime you need a hug, I’ve got one for you. . . . I’m sorry.”という謝罪のメッセージを再び添えて。)

このVA、問題のスムーズな解決のために、記者の当初の切り替えし文句で火に油を注ぎかねない内容(「確かにおれが忘れたけど、お前だってよく物忘れするだろ」)はバッサリと省いて、「ごめん、愛してるよ」のメッセージのみに留めておきます。しかもメールに加えてカードも送る手際の良さ。こういう案件を頼むかどうかは別として、これは中々のもの。いわゆる1言って10返す仕事ですよね。

皆が皆、そういう出来だとは限りませんが、元来のインド姉さん的な心遣いが基礎となって、その上トレーニングがきちんとしていて、ある程度の人数が相応の仕事ができるとしますよね、で、それでいて1時間4ドルから10ドルと安く、且つ時差を利用して自分が寝ている間に用事が済んでしまう、となるとさすがに我々いわゆる先進国、特に英語圏のホワイトカラー職の未来は明るくないですよね。ましてやアメリカではサービスの外注は色々なレベルで日常茶飯事だし、1言って10返すということが殆どないので、満足度はかなりのものかと。

如何でしょう、VA使ってみる気になりました?遊牧民的な起業をした方や少ない人数で起業した方々、事務的な仕事やマーケットリサーチ等、こういう形で外注するのも良いかもしれませんね。海外と仕事する際の、メールや文章の英語添削なんかにも有用かもしれません。

どうでしょうね、日本でも需要ありますかね。この分野、日本女子かなり得意だと思うんですよね。英語の問題さえなければ、育児をされている方なんかで在宅で時給8ドルくらいでこういう仕事してくれる人はたくさんいるように思うのですけど。国内や海外暮らしの日本人相手だけではマーケットが小さいですかね。どうだろ。将来言葉の面が改善すれば、日本で存分に活用されていない事務に長けた女性を集めてアドミ立国するというのもありかとは思うんですけどねー。

さて、この本でVAに関して面白い指摘があります。それは、起業家でもなく普通の会社で働いている平社員の私には関係ない話だと思ってはいけないと。なぜなら、実はVAを雇うことで指示の出し方、部下の仕事の管理の仕方、顔をあわせないリモートの人との仕事の仕方を学べるからだと。インドのVAを 2週間から1ヶ月程試しに雇ったとしても100ドルから400ドル。これはそういった重要なスキルを自力で学ぶには、非常に効率の良い投資だと。うーん、確かに。日本人の場合は「英語で」というのも加わるから、更にROIが高いかもしれないですね。

というわけで、誰にでもメリットがありそうなアウトソースの話でした。もちろん最初に守秘義務の確認だとか面接して能力を測るとかする必要があるものの、ちょっと試してみたい気もします。確かにわずかな費用で自分が有用に使える時間が得られるのは良い事ですね。もちろん古き良き日本人としては、モラルとの格闘はやはりあるわけですが…。

今日はこんなとこで。ではまた。

Work Life Balance

どうも。今日はたまたまチケットをもらったのでMLBのホームランダービーを観に行って来ました。中々の迫力。周りの席にはお父さんと息子の組み合わせで来ている人達が多く、微笑ましかったです。エンターテイメントが多種多様になった今でも、何かを観るのに足を運ぶという古くからある形はやはり良いものですね。

さて今日は、そんな夕方5時から子供を野球場に連れて行くのもアリだという、ワーク/ライフバランスに関する話に触れたいと思います。私は、このバランスは其々の生き方を反映した個人の価値観の問題であるべきだと思うのですが、実際には企業などの組織や周りの人が彼らの視点を押し付けることが多く、個人が仕事も私生活もその人なりのバランスで全うするということが中々難しい状況ではあります。

特に日本では、その押し付けが人権侵害の域に達するような場合もあり、「きちんと予定通りに成果を出している限り、特定の日にどこでいつ何時間働こうが、個人の勝手だ」というような意見は受け入れられないことが多いですよね。ですが、大企業であれベンチャーであれ、皆にそういった行動をある程度できる権限を付与し、其々が持続可能な形で幸福感をもって働けるようにすることで、お互いがWin-Winになれるという認識をもつ事は非常に重要だと私は思っています。

で、今日紹介したいのはThe 4-Hour Workweekという本。Tim Ferrisという若い起業家によるもので、当初は他の起業家同様とてつもない時間働いておりそれが誇らしくもあったが、自分にとってそれは持続可能ではなく他にやりたい事も沢山あることに気付いたため、それらを全てパラレルに行えるように仕事の仕方を追及した、というもの。

こちらで詳しく内容が紹介されているので、ここでは要点だけを。彼は、自分の送りたい人生の実現のためにはまずは不要な活動を排除すること、そして、やるべきことをこなしつつ時間をつくるためには、可能な限りシステムやアウトソースによる自動化を取り入れて効率化し重要な仕事にだけに集中すること、そしてその重要な仕事を行う際には生産性を追及すること、を提唱しています。

彼のスタンスに反感を覚える方、実現性に疑問を感じられる方もいらっしゃるとは思いますが、中々面白い視点で書かれていますし、ライフハックとして学ぶところも多いので、起業家の方も大企業で働く方も、ぜひ読んでみてください。時間をちょっと割く価値はあると思います。まだ日本語訳はないようなので、原著のリンクを張っておきます。原著はどうも苦手という方、こちらのブログでは日本語で結構詳しく内容が書かれていますので、(1)-(5)を読むことで要旨はおさえられるかと思います。

かなり眠気が襲ってきたので今日はここまでにしておきますが、次回はこの本の中で非常に面白かったアウトソースの話について触れたいと思います。ではまた。