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明けましておめでとうございます。今年も1年どうぞお付き合いくださいな。
更新を怠っている間に妙に流入が多いと思ったら、スタートアップのCFOが読むべきブログまとめに入れて頂いたようで…ありがとうございます!組織・資金調達に分類されていたので、今年は組織の話からスタートしましょう。
オンライン靴屋のZapposは、徹底したカスタマーサービスや楽しいカルチャーで知られていますが、今年は組織構成についても面白い取り組みを始めるようです。いわば自制組織のHolacracyという仕組みを取り入れ、一般的な意味でのマネージャーを無くし、2014年中には全社でロールアウトし(少なくとも社内的には)あらゆる役職をなくしてしまう計画とのこと。
このHolacracyはBrian Robertsonという人が提唱している方法論で、従来のトップダウンまたはボトムアップといった予め決められたヒエラルキーに沿った組織ではなく、会社が必要とするタスクに応じて自制のサークル(チーム)を結集するというもの。結構複雑なんですが、私の理解するところでは、アジャイル時代のプロジェクトベースのマネージメントってところでしょうか。
サークル(チーム)を構成したりリードしたりは発生するので、マネージャーが役職として無くなるにしても、そういうロール(役割)をする人はいるわけで、それほどフラットではないような気がしますが、それでも業績をマネージすることとスタッフのキャリアをマネージするということが分離されるのは良いかもしれませんね。でも、給与体系とかはどうなるんでしょうねー。
こういう考え方自体は様々な呼ばれ方で多分20年以上前からあることなんだと思います。思い返せば、私が大学卒業後就職したコンサルティング会社は、通常属するチームというものがなくて、プロジェクトベースで結集される仕組みだったんですが、大きな組織では効果的に機能しているとは言えないと思いました。特に最初の頃は知り合いも少ないので、いわば社内リクルーターである人事の人に連絡を取り合って常に社内でレジュメもって売り込んでなきゃいけない、という状況でしたし、その後も同じリーダーが誘ってくれるプロジェクトが必ずしも自分の方向性とあっているかというと、そうとも言えず…。もう少しできるレベルになっていれば活用の仕方もあったとは思いますが、若輩者には難しかったですね、実際。
まあ、ここで言っているタスクとかサークルというのはもっと小規模なんだと思いますが、インプリがどうなるか、興味津々です。実はこのHolacracyを既に採用しているところには、Blogger/Odeo/Twitter共同創業者であるEvan Williamsの新しいスタートアップ、Mediumがあります。スタートアップだと、こういう一定の能力の人からなる組織におけるアジャイルな方法、というのは結構ありだと思いますが、今のZapposの規模は1500人。ここまでスケールできるのか、というのが面白いところ。
いずれにしても、Evan WilliamsとTony Hsiehのご両人が関心を寄せている組織論、というのは只者ではないはず。これから追随するところも増えてくるのではないでしょうか。注目しておきましょう。
では今日はこの辺で。
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しばらく前にシリーズとして書いていたリーンスタートアップについてですが、そういえば最近ご無沙汰気味だったので今日はその件を。
本ブログ及びSlideshareでリーンスタートアップのすごく簡易なまとめをいくつか掲載しているんですが、お蔭様で多数の方々が閲覧して下さっているようです。特にMVPはなんと65,000弱の閲覧数。ほんまかいな。
まあ、いずれにせよ関心が高いようですので、今後またリーン関連には力をいれることにします。もうちょっと色々書くつもりでいたのが延び延びになってしまっていましたし。
さて、関心の高さにもかかわらず、日本での実践ケースをあまり目にすることがないという実情がありますが、今日は、数少ない例として、お友達のスタートアップTokyo Otaku Modeの話をシェアします。
Tokyo Otaku Modeは日本が誇るポップカルチャー(主にオタク文化)を世界に発信するスタートアップですが、創業当時は皆本業を抱えながらサイドで行ったプロジェクトであったにも関わらず、現在ではFacebookページで1400万弱の驚異的いいね数を誇るとっても人気のあるサービスへと加速成長中であります。
その成長の秘訣のひとつはリーンスタートアップの実践のようです。社内ではリーンスタートアップの書籍の要点をわかりやすい日本語でまとめて共有しているとのこと。詳細はブログ記事「リーン・スタートアップを実践して分かった5つのこと」で垣間見ることができます。記事ではリーンスタートアップとは何か、気をつけるべき点・重要な点は何かなどに触れていて、リーンスタートアップに関する日本語の文献としては非常に包括的でわかりやすいものだと思います。ぜひご参照あれ。
関心の高いMVPという概念は、何となく分かるようでいてでも実際に把握するのが難しいものだと思います。記事中にTokyo Otaku ModeがECサービスを始める際の例がありますので、以下抜粋します。
ちなみに、Tokyo Otaku Modeでは、日本のアニメグッズを海外に販売する海外ECを主力事業として進めていっていますが、最初は複数商品を購入できるショッピングカート機能と いう、ECでは当たり前の機能さえなかったのです。僕が考える海外ECの最低限の機能は、「商品が買える」「商品がお客さんに届く」こと。これ以上は 「リーン・スタートアップ」の概念からすると余計な機能です。「複数の商品がまとめて買える」機能はおろか、最初は「購入ページ」が1枚あるだけで、 「トップページ」も「商品の一覧ページ」もありませんでした。そもそもニュースメディアだったTokyo Otaku Modeのファンが海外ECというサービスを使ってくれるかどうかわからない状況では、「お客さんが海外ECサービスを使ってくれるかどうか」の検証がま ず先なのですね。
端的に言うとかなりのそもそも論を検証するのがMVPの役割です。MVPには様々な形がありますが、鍵は、検証すべきことは何かをきちんと一歩引いて考え、それを検証するのにもっとも近道となることを具現化することです。最小限機能のサイトかもしれないし、動画やパワーポイント、或いは人力とのコンボという場合もあります。これには常識やそれまでのやり方から一歩離れて考える必要があり、クリエイティビティが要求されます。このような他社の事例を見てみるのもアイディアの参考になるでしょう。
他にも有用な点がたくさんありますので、ぜひ上記ブログ記事読んでみてください。
では今日はこの辺で。