ベンチャー企業の売却価格はどう決まる?
どうも。今日はまた大きなWeb2.0関連のM&Aがありました。
AOLがSNSのBeboを現金$850millionで買収とのことです。生まれて3年のベンチャーでVCからの資金調達も1ラウンドの$15millionのみ。これは凄いリターンですね。創業者のBirch夫妻は相当なお金持ちになるでしょう。
2007年の売上げは$20million程度でEBITDAは$5million程度だそうなので、バリュエーションはかなりの倍率ではあります。こういうニュースがでると、バリュエーションが高すぎるとかお得な買物をしたとか、思い思いの意見を言う人達がたくさん現れますが、それはあまり意味の無いことだと思うんですね。それが「正当なお金の使い道」かどうかを気にする必要があるのは所詮、AOLの株主であって、AOLの経営陣が彼らに説明責任を果たせば良いわけです。
そもそも、一つの「正しい価値」が存在する訳ではありません。ベンチャー企業の戦略的なM&Aの場合は特に、将来キャッシュフローをベンチャー企業単体で見て予測するのはナンセンスで、買い手候補がどのような補完的要素を持ち、どのように戦略を練って実行するかに相当大きく左右されるのです。よって、買い手候補それぞれが看做す当該ベンチャー企業の価値にはかなりの差があるのが通常です。
では価格はどう決まるかというと、結局のところ、その当該ベンチャー企業を取得するために必要な額ということになります。それはそのベンチャーの株主が、それなら売っても良い、という額であるかもしれません。或いは買収を希望するA社とB社が、そのベンチャー企業にとって質的に同等に魅力的である場合、A社とB社でのオークションによって競り勝った額ということになるでしょう。
「そんな単純なわけがない」と思われるかもしれませんが、根本的にはこういうシンプルなものなのです。もちろん、そこに至るプロセスや考え方、関係者間の調整などには複雑なものがありますけど。
AOLはここ暫らく混迷を続けてきたので、実はこんな額の現金を出せる事には私はちょっと驚いたのですが、ダイアルアップ接続以後のアイデンティティが中々定まらない彼らにとって、これは戦略的に非常に重要な一歩なのでしょう。今後面白い取り組みが出てくるのが楽しみですね。
というわけで、短いですが今日はこの辺で。では皆様、良い週末を。