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どうも。暫らく間があいてしまいました。
相変わらず大変な状況が続いている市場ですが、今日はそんな混沌期にM&Aがどうなるかという話を。以前書いたエントリーの補足です。
景気が悪くなると一般的には財布の紐が固くなるわけですが、M&Aが総じて減るかというとそういう訳でもないようです。
現在のような信用収縮が起こっている場合には、多額の資金調達が必要になるような大きなM&Aは難しいので減少しますし、より選択的になりますので日和見的な買収は減少します。一方で戦略的にピッタリと道理に適うもので、キャッシュでまかなえるようなものは引き続き行われます。但し、元々M&Aに保守的な買い手、或いはM&Aの経験が少ない買い手は暫らく様子見になる傾向があります。
ベンチャー企業のエグジットとしてのM&Aは戦略的且つ基本的には小サイズですので引き続き行われますが、経験の豊富な少数の買い手と、資金繰りが厳しくエグジット圧力のかかっている多数の競合するベンチャーという状況になると何が起こるかと言えば、買い手市場です。
今日出席してきたAdobeとSunとRFマイクロディバイスのコーポレートディベロップメント担当者によるパネルディスカッションでは、それぞれが「来年はどんどん買いますよー!」というノリでした。私が思っていたよりも遥かに買う気満々で、安く買えるこういう時期は買い手にとってはもうウハウハという感じでした。
この状況が吉と出るか凶とでるかはケースバイケースですが、M&Aのドアが閉じてはいないということ自体は、ベンチャーにとって良いニュースだと思います。株価の急落している上場企業を含め買い手にとってのオプションが増えているので、エグジットを考慮しているベンチャーはなるべく早期に積極的なアプローチを計画することをお薦めしますし、また同時に単体の企業として不況を生き抜く施策を取りつつそうした買い手になりそうな企業への露出向上を意識的にすることをお薦めします。
また、買う意欲が多少でもある大企業の方々には、この機に積極的にベンチャー企業との協業を検討し買収を打診したり、意欲を知らせるためにも情報収集のためにも、ベンチャー企業を担当しているようなM&Aアドバイザーやバンカーに接触し網を張ってみるのがよいと思います。
そんなわけで短いですが、今日はこの辺で。そろそろ明るい話でも書けると良いのですけどね。
ではまた。
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どうも。今日は不況とM&Aの関係についてちょこっと。
今月初めにアメリカではM&Aも減っているということに触れましたが、今日目にしたレポートによると、この状況下でテクノロジー業界はそれほどひどい影響は受けていないものの、やはりM&A件数・額共にかなり減少しているそうです。
一般的に、景気が悪くなると各社財布の紐を引き締めますので、どうしても必要なもの以外には手を出さなくなり、その選択はより慎重になり長期化する傾向があります。
「どうしても必要」という基準は各社様々ですが、概ね保守的になりますので、私が通常扱っているような「攻めの先行投資」的な案件は外的要因(e.g. 候補として検討していたA社をライバルが買収しようとしている等)がないと難しくなりがちです。但し、現金を大量に保有していて、このような景気状況でも強気に行けるような企業にとっては(e.g. グーグル、マイクロソフト)競争相手も少なく、選り好みでき且つお得にお買物ができる嬉しい状況であるとも言えます。
それから、通常でも売却の準備をしてからクローズするまで平均して半年はかかりますので、更なる長期戦になることを予測して動くように注意して下さいね。
一方で、安定した収益をあげている企業や、本来良質なのに何らかの事情で破産寸前だったり株価が非常に低くなっているような「低価格」な企業は、そうした案件が好きな会社にとっては格好のターゲットになります。テクノロジーベンチャー企業では少ないケースですが。
また買収側の株価が低く金回りが悪い状況なので、株式交換や買収の為に多額の資金調達の必要があるような、つまり手持ちの現金以外の買収案件は成立が難しくなります。逆に言えば、$20MくらいのテクノロジーベンチャーのM&Aにはそれ程影響はないので、大手の戦略にフィットする良いものをもっているベンチャーには引き続きエグジットの機会が開かれているということです。
というわけで、景気がどうだとか統計が何を示そうが、ベンチャー企業はbusiness as usualで前進するのみ、だと思います。運とかタイミングとか、あんまり考えすぎてもしょうがないってこともありますから。
さて、このレポートの中で意外なものが一つありました。それはこのドル安の状況下においても、アメリカ企業が他国の企業をかなり買収しているということです。Q2の数字では全体の40%弱がこうしたクロスボーダー取引ということですが、これはテクノロジー業界においては「良いもの」であればどこにあろうとかまわない、というグローバルな状況が現れているものと思います。
中々のレポートでしたのでこうした統計に興味のある方はぜひ参照してみて下さい。
では今日はこの辺で。