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自社技術の素晴らしさの伝え方

どうも。日本は熱帯と化しているらしいですね。みなさまご無事でしょうか。

こちらは涼しいのですが、しばらくクライアントの技術レベルのプレゼン資料を作るのに熱く格闘しておりました。私がサポートしている売却側に立った M&Aのプロセスでは、そのベンチャーの情報を段階的に開示し、興味を示す企業を絞りつつ、対話を進めていくわけなのですが、最初の企業紹介と最後の詳細なデューディリジェンスの間にあるステップで、どのように中身を示していくかというのは、いつもかなり悩ましいものがあります。

私の場合はテクノロジーベンチャーを扱っているので、主な内容はそのベンチャーの「技術の素晴らしさ」になるわけですが、「素晴らしさ」といってもアカデミック・科学的な観点からではなく、相手企業が現在抱えている穴、そして今後立ち向かうであろう困難をどのように解決できるのかを、宣伝的ではなく且つ説得力のある形で示す必要があるのです。

ベンチャー企業がソリューションをお客様相手に説くことは日常茶飯事なのですが、この場合違うのは、M&Aの相手候補というのは通常そのソリューションのエンドユーザーではないことです。相手候補はそのベンチャーの技術をそのまま或いは自社の既存製品・技術と合わせることで、彼らのエンドユーザーに提供するために、買収を検討しているのです。よって、通常行っているようにソリューションを説明するだけでは不足で、その一歩先を行く必要があります。What we doではなくhow we do what we doに深入りするという感じなのです。

こういった深入りのレベルは技術によっては明確なものもありますが、ソフトウェアはかなり厄介です。コードを見せるわけにもいきませんし、お偉いさんに見せてもしょうがないですからね。そこで深入りした説明をと頼むと、あらゆるフィーチャーの詳細を羅列してくる場合がどうしても多いんですね。資料作りにおいて、そこから先に進むのに難しい点が大きく分けて二つあります。

一つは、どんなに詳細であろうとも、それではwhatの詳細であって、決してhowの説明ではないということを伝えて理解してもらうこと。こちらがどのような情報をどのようなレベルで求めているかを、ベンチャーのCTOやVP of Engineeringに分かってもらうのには常に苦労しています。概念的だったり必ずしも客観的ではないものをコミュニケートするという難しさがあるのと、そもそもディテールとサブスタンスとでも言いますか、状況を鑑みた上でのただの細かい話と実質的な深い中身の区別が出来ない人が多いのだと思うのです。もちろんくっきりと線が引けるわけではないですが、そうした区別を念頭に置くことはあらゆる場面で重要だと思うのですけどね。

もう一つは、技術的なhowの内容をどのように分かりやすく示すかということです。パワーポイントにフォント9の文章で説明するわけにはいきませんので、チャートやポンチ絵で視覚化することが効果的なのですが、良い視覚化をあみだすのは簡単ではなく手間ひまのかかる事です。私はそういうことを前職でかなりやってきたので、本業を超えて実際に手を動かしてお手伝いするのですが、いつもクライアントと共に産みの苦しみを味わうことになります。

そんなわけでかなり格闘していたのですが、ようやく光が見えてきたので、後はひたすら作りこむだけだとホッとしているところです。今日の話は何の結論もないのですが、趣旨は違えど日々のオペレーションで似たような経験をされている方もいるかなと思いシェアさせて頂きました。特にディテールとサブスタンスの件については同様の問題意識を持たれている方がいらっしゃったら、ぜひ対処経験談をお聞かせ下さい。

では今日はこんなとこで。

熱いなー、ペンギン。

どうも。忙しい日が続き、あっという間に週末になってしまいました。

先日、とうとう、クラブペンギンの買収が決まりましたね。ペンギンと聞いてリナックスを思い浮かべてしまう方々、子供心を取り戻しましょうね。

このクラブペンギン、主に8歳から12歳の子供(tweensともよばれます)を対象にしたバーチャルワールド、MMOGなのですが、スタートしてからすごい勢いで成長し、2年足らずでディズニーに買収されました。今年の5月にはソニーと買収交渉をしているけれども、収益からかなりの額を慈善活動に寄付するというポリシーをめぐって難航しているという情報が流れていましが、やはりそこがネックだったのでしょうか。他にもNews Corp等が興味を示していたようです。会員数、トラフィック等のデータはこちらに詳しいのでどうぞ。あのWorld of Warcraftの約10倍とかいう規模だとは驚きました。

価格は$350M、2009年の業績をマイルストーンとして更に350Mまでのearn-out付きです。今年の予想売上げは65M程、マージンは 5割という噂です。収入源は会費(月額$5.95)、グッズの販売を中心としたもので、最近ではめずらしく見えるような堅実なビジネスモデル。他に比較できるようなものを調べていないので何ともいえませんが、なかなか良いバリュエーションのように見えますね。earn-outが多いのは難点ですけど。

しかもクラブペンギン(背後の会社名はNew Horizon Interactive)は、3人のお父さん達が創業して、クレジットカードローンを含む自己資金、友人からの出資、及びエンジェル投資の傍ら、早くからでた利益でここまで大きくしてきたんですね。数多くのVCからのラブコールを跳ね除けてきたそうです。となると、創業者の懐は暖かいなんてものじゃないですね。ちなみに、社員数は120人程とのこと。

このニュースでふと思ったことが二つ。

一つは、最近ウェブ系のサービスは無料がデフォルトで広告を収入源としているものが多いのですが、バリュープロポジションがしっかりとしていて、お得感のある小額の会費であれば、喜んで払うユーザーはやはり結構いそうだ、ということ。もちろん、価格設定の問題は複雑ですし、いろいろ皆さん考えていらっしゃるとは思いますが、無料版からプレミアム版へのハードルが高いものが結構見受けられたり、無料サービスに偏った首切り競争的方向に傾きすぎたり、という傾向がみられることがちょっと気になっていたのです。バランスは難しいのですけどね。グーグルが近頃オフィス系のプロダクトをかなり充実させてきていますが、そういう意味では、グーグルがああいうレベルのものを無料でだすことは、大手が資金力をもってベンチャー企業を締め出しているかのような害がある気もしてしまいます。

もう一つは、子供市場、熱いなー、ということ。アメリカには現在、8歳から14歳までの子供は2900万人いて、その年間購買力は$40Bに及ぶそうです。しかもそのうち約90%がネットを使っているとのこと。移り気な子供の心を捉えることが出来れば、かなり儲かりそうです。クラブペンギンに類似のサービスは同じくカナダのWebkinzなど幾つかあって、これから益々競争は激しくなるかもしれませんね。子供の場合、セキュリティーや情報の適正度に関して親を安心させられる仕組みがしっかりしていることに加え、飽きさせないような工夫がかなり必要だったりしますが、その点このペンギンは肌理細やかなしっかりされている感じです。英語版のWikipediaBusiness2.0に色々と詳しく記述されてますので、ご興味のある方はぜひご一読を。子供の場合は、流行が「みんなやっている」という社会的要素により大きく影響されるので、難しい点がありますよね。そのぶん火がつけば広まりは早そうですが。今日本の子供達の間では、何が流行っているんですかねー。

そんな訳で、取り留めないですが、今日はこの辺で。
ではまた。