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知人に話を通してもらう際の注意点

どうも。今週もあっという間に週末です。皆様、秋を楽しんでいますか。

さて、投資を募る場合や顧客を開拓する場合など様々なケースにおいて、知り合いを通じて適切な人に話を持っていってもらうことってありますよね。直接行くことももちろん可能なのですが、対象がおエラかったり、忙しければ忙しい程、その人を良く知っている人からの紹介ではないと相手にしてもらえないこともあるわけです。

紹介だと、伝えたいことを取り合えず聞いてもらえたり、読んでもらえたりするチャンスは高くなりますが、その先のステップである打ち合わせにこぎつけるにはどうするか。それには要点を短く、的確に、魅力のある形で伝えることがやはり一番の近道だと思います。よく言われるエレベーターピッチですね。そのピッチには、どんな製品でどんな利点があるのか、どれだけ世の中の興味を引いているか、そしてそれを可能にしているチームの質の良さを含めると良い感じです。製品を表現するのにイメージしやすい(厳密には正確でなくても)比喩を用いるのも効果的なようです。

この点に関して、先日のVenture Hacksになかなか良く出来た例がありましたので、紹介したいと思います。Marc Andreessenが知り合いのNiviを通じてVCのBlue Shirt Capitalに紹介してもらうために、自社のNingについて記しているという設定。紹介者がこれを読んで電話などで話してくれる場合、及びそのままメールで転送されることも想定に入れて書かれています。[ ]は意図の解説です。

良く纏まったエレベーターピッチを伝えることの他にポイントが大きく2つ。一つはビジネス文書の常識的なもので、内容を的確に示す表題にすること、簡潔で読みやすい文章にすること、そして添付を明示したり連絡先を入れるなど、当たり前にきっちりすることです。もう一つは、微妙な人間関係の力学にまつわるもの。こちらは些細なようで結構重要なので注意して見て下さい。引用の後でまた触れます。

Subject: Introducing Ning to Blue Shirt Capital [A useful subject line!]

Hi Nivi,

Thanks for offering to introduce us to Blue Shirt Capital. [Reiterating the social proof of the introducer.] I’ve attached a short presentation about our company, Ning. [Did you notice the attachment?]

Briefly, Ning lets you create your own social network for anything. For free. In 2 minutes. [What is the product? What does it help the customer do? Who is the customer?] It’s as easy as starting a blog. [What’s the metaphor?] Try it at http://ning.com [Link to the product, screencast, or screenshots.]

We built Ning to unlock the great ideas from people all over the world who want to use this amazing medium in their lives. [What’s the big problem or opportunity?]

We have over 115,000 user-created networks and our page views are growing 10% per week. [Traction.] We previously raised $44M from Legg Mason and others, including myself. [Social proof and more traction.]

Before Ning, I started Netscape (acquired by AOL for $4.2B) and Opsware (acquired by HP for $1.6B). [Team.]

I’ve admired Blue Shirt’s investments from afar. [Why are you interested in Blue Shirt?] We’re starting meetings with investors next week and I would love to show Blue Shirt what we’re building at Ning. [Call to action and subtle scarcity.]

Best,

Marc Andreessen
xyz@ning.com [Contact information—how thoughtful.]
415.555.1212

どうでしょう。もうちょっと短いほうが良いかなという感じですが、なかなか纏まってますよね。人間関係の力学と先程書いたのはメールの最初と最後の部分です。

まずは紹介者に対して。紹介してくれる人はただの善意でやってくれる場合もありますが、双方に利があるのに越したことはありません。「人脈があり良い案件を持ってくる人」という評判は非常に価値のあることなので、紹介者にとってもプラスになることを紹介者は意識しているものです。誰にとっても、頼られているという気持ちは中々良いものなので、媚びない程度に人脈があることを称えたり、知識があることを称えたりするとスムーズですね。

それから最終的な対象(この例の場合はVCです)に対して。こちらも媚びない程度にどうしてその人に聞いて欲しいかを伝えること、そして何を期待しているか(打ち合わせ等)を明確に伝えること。そして面白いのが最後の点、「他の人にも本件について話をしている」ということをほのめかしています。これは場合にもよりますが、上手く使えば「これはホットな案件だ」という印象を与えることができます。人は世間での評判や希少性に弱いですから、これは聞いてみるか、というモチベーションを起こさせるわけです。

自社を表現するエレベーターピッチを研ぎ澄ますことの重要さは言っても言い切れない位ですが、それだけでなく、人に何らかの行動を起こしてもらえるようにする際には、心理的なことにも注意を払うべきだということには、ちょっとハッとさせられますね。

今日はこんなとこで。日本では連休ですかね。いずれにせよ、皆様、良い週末を。

エンジェル投資概況

どうも。ここ最近、幾つかお問い合わせがあったので、前回に続き、資金調達の話を。今回はエンジェルの投資概況です。

PEHubの記事によると、07年上半期のエンジェル投資は昨年同時期より減少しているそうです。一件ごとの投資額平均は減少し、個人投資家数は増えたものの一人当たりの投資額が減少したということ。あんまり良い話ではないですね。数字を引用します。

– 投資総額:$11.9 billion (昨年同期比6%減)
– 件数:24000件 (昨年同期比2%減)
– 業界は多岐にわたっており、ヘルスケアは全体の22%、ソフトウェアは14%、バイオテック、エレクトロニクス、コンピューターハードウェア、ITサービス、リテール、産業/エネルギー系が各10%程度
– 個人のエンジェル投資家数:140,000人 (昨年同期比8%増)

また、この記事によると、エンジェル投資にどうやらちょっとした変化がおきているようです。

While angels are best known for seed and startup-capital, researchers say they’re increasingly moving into later-stage investments. In the first half of the year, post-seed and post-start-up investments accounted for 48% of angel expenditures. Says Jeffrey Sohl, director of the Center for Venture Research: “While angels are not abandoning seed and start-up investing, it appears that market conditions, the preferences of large formal angel alliances, and a possible slight restructuring of the angel market are resulting in angels engaging in more later-stage investments. “

従来のシードよりも後の段階への投資が増えており、その理由は、個々人ではなくきちっとしたエンジェル集団の一員として投資することが好まれる傾向にあることと、エンジェル市場のちょっとした再編の可能性にあると。

以前お伝えしましたが、例えばCharles River Venturesが一口$250k程の投資をconvertible noteの形で行うようになるなど、VCがエンジェルの領域に入ってきているという流れがありますが、一方で、エンジェルが投資ステージとしてはVCの領域に入っているということになりますね。一時期の状況なのか、それとも何か構造的な変化が起こりつつあるのか、ちょっと様子見が必要そうです。

それにしても、エンジェルが組織化したものばかりになってしまうのは如何なものでしょうね。皆がVCと同様に詳細で長い案件採用プロセスを取るようになると、起業家にとってはちょっと厳しいですよね。

そんな訳であんまり明るい話ではないですが、起業家の皆様がんばって下さいねー。

ではまた。