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ちゃんとベンチャーを支援できるか

先日はちょっとVC関連の話でキレてしまいましたが、VCをパロディにしたこんなかわいらしいホリデーカードが話題になっています。 Blueprint Ventures というVCが作ったもので、成功したGary Snomanという起業家がVCに転向したら、予想していたように派手でも楽でもなかった…という内容。会社から関係者に送るカードでこういう遊び心があるのが良いですし、何よりも様々な批判もある中、自分達を笑うことができるVCの粋っていうのは、人好きがするっていうか憎めないものがありますね。ウェブサイトで昨年のも(起業家として成功するバージョン)含め見られますがリンクが上手くいかなかったのでYouTube版を貼り付けときますね。

確かに多くのVCは非常に忙しいですし、思うほど煌びやかな生活ではないかもしれませんが、これだけVC産業が拡大すると、起業経験やベンチャー企業経験の有無もバラバラで、学校上がりの人や様々な業界上がりなど色々なタイプの人が数多くいますので、実際に勘違いな人もいない訳ではありません。”業界常識”にどっぷり浸かってしまって、他の世界や価値観を見落としてしまっていることもあります。(VCから起業家に転身する人について書いたこのMercuryの記事なかなか面白いですよ。人によってはとんでもなく乖離していて。)

また、このビデオにもあるように、会議中にBlackberryばかり見ていたり、電話に出たり、内容を全然理解していないなんて批判も良く聞かれますが、どの業界もそうであるように、形ばかりの人もいると同時に、やはりちゃんとした人は行いもちゃんとしているのだと思います。

なのでVCを選ぶ際にはVCファームではなく、その担当のパートナー個人との相性を注視しましょう。資金以外にも自分が必要としているサポートをするに値する知識、経験、人脈、スキル、を持っているかはどうかはとても重要です。お金だけ出してくれて放っておいてくれるなら、それも良しなのですが、それ以上のものを求めているならば、起業家側からVCに対してそういったデューディリジェンンスをする必要があるでしょう。時間をかけすぎるのはどうかと思いますが、起業家によっては”生涯の伴侶を選ぶ次に重要な決断”と重要視している人もいるくらいなのです。

昨日、家に届いた郵便物に幾つかジャンクメールが混じっていて、大抵は以前に住んでいた人宛だったりするのですが、全く違うものが一つありました。その宛名は何とRam Shriram。驚きました。Ram ShriramといえばNetscapeやAmazonで幹部として働き、数々のインターネットベンチャーに関わってきたシリコンバレーの重鎮で、近年エンジェル/メンターとしてGoogleの初期から役員として関わり大金をなしたことで更に有名になった人です。さすがにうちのアパートに住んでいたことはないと思いますね。ちょっと古いのですがBusiness 2.0のこの記事(He’s No Angel) で自分の役割はシェルパみたいなものだと語っているのはとても興味深いですので是非ご参照あれ。 (ちなみに私、ヒマラヤでトレッキングをしていたら本気でシェルパに間違えられたことがあります。まあチベット、ネパール系は見た目がとても近いですからねー。全くの余談ですが。)

彼はベンチャーのシェルパをするのに必要な知識、経験、人脈、スキルを持っているそれこそちゃんとした人なのだと思いますが、それ以上に人格や良い物を見分ける知覚や、様々なものがあるのでしょうね。こういう人は本当にトップクラスで中々いないのだと思います。有名になったりすると投資にしろ何にしろ色々とおいしい話が舞い込んでくるのが世の常のようですが、そこにたどり着くには色々ですよね。実力は勿論ですが、それだけでなく、良い時に良い場所にいるというタイミングの幸運、人との出会い等々、の要素が大きかったというのも良く耳にします。そういうものって本当に運なのか、それとも成功した人は必然的にそういうものを引き付けているのか…。どうなんでしょうね。

とそんな事に思いを馳せつつ、来年にはもっとちゃんとした人になれるよう精進していこうと誓う年の瀬であります。

お子様がVC投資を決める時代

どうも。いやー寒いですね。一年中涼しい代わりに暖冬のはずが…なんだかハズレくじを引いちゃった気分です。年末の東京帰省で暖かいお風呂に毎日入れると思うと顔がほころんでしまいます。そういえば随分前に当時国連でご活躍されていた明石さんが、「日本人は何故海外に根付いて活躍できないのか」という類の質問に対して「常に日本に帰って温泉につかりたいと思っているから」と応えていたのを記憶しています。確かにアキレスではありますな。そのために日本に帰るかどうかは別として、感覚としてお風呂はやっぱりいいよねー、というのは恐らく殆どの日本人が持っているものと思います。

さて、その感覚として直に分かる、という事についてちょっと考えさせられる記事が週末のNY Timesにありました。テクノロジー系ベンチャーに投資しているVCが投資先を選んだり、投資しているベンチャーの経営指南をする際に、自分の子供達等の身近にいる”若い人”の意見を参考にすることが増えている、というのです。

その背景は、特にSNS等のWeb2.0的なもの、World of Warcraftのようなオンラインゲーム、携帯でのコンテンツ等々の分野において、何が良いのか他より優れているのか、またこれからどんなものが流行るのか「自分でやらないから分からない」というのです。主として30代以上であるVCと違い、こういった技術を当然として育ってきた若い世代のほうが自然に分かるとも。

でもね、これって、安直過ぎないですか?最初は子供がやっているから興味を持ったとかは当然アリだと思うのですが、この記事で書かれているようなトーンだと、もっと広範囲に自分の子供という少数の断面的感覚が幅を利かせちゃいそうですよね。起業家は自分の人生を賭けVCからの投資を確保するのに躍起になっているというのに…。私は30代でこの記事によると”分からない古い世代”みたいに言われていることもプチッときたのか、なんだかもやもやした何とも言えないものが沸いてきました。まだ考えがまとまっていないのですが、プチッときた勢いで違和感って言うか不快感みたいのをまずは取り合えずバラバラと書いてみます。

* いつの時代にもオジサンやオバサンには分からない若者の中で流行っていることや言葉や気持ちみたいなものってあったのでは?

* 半導体とかハードウェアとかインフラ系ソフトウェアとかのベンチャーに投資する際には、自分はそういった分野のテクノロジストでなくとも、専門家の意見も聞くなどしてロジカルにビジネスの見込みを評価して投資してきたはずで、いつも”感覚として分かる”わけでないのではないか?

* いくらコンシューマー向けで”自分達大人向けではない”ように見えるものでも12歳位の子供は中心のユーザーではないはず。そんな低年齢層を狙っているビジネスはそもそも成り立たないし、彼らの1年毎の違いは大きく数年後に高校生になった頃にはまた全然違う嗜好を持っているので数年後のターゲット層として考えるのもおかしいのでは?

* こうしたビジネスをしている大人がロジカルに考えて理解できない場合は、そのベンチャーはそもそも何かの問題を解決していないのではないのか?

* アメリカでは特に子供の話をすることとか、子供を会社のパーティーに連れてきたりということが微笑ましく思われることも多いが、このVC関与は行き過ぎなのではないか?自分で手を染めて考える事を放棄していないか?ファンドから数%もの管理費を払っている機関投資家はどう思うことか?

* 従来からあるように本当の対象ユーザーのグループから意見を聞くとかではなく、どうして自分のところのいわゆる裕福なお家の子供なのか?これって働いている事で子供と多くの時間を過ごしていないという罪悪感の裏返しで、自分の子供と興味を共有するという極めて私的な努力の一貫なのでは?

* 子供にとってもビジネスを知るいい機会だという正当化は、如何なものか?「うちの11歳の娘が”彼らのビジネスモデルはよくわかんない”なんて言うのよ」とか言うのは、ちょっとcompetitiveな要素があったり、自分みたいに振舞う子供を喜ぶというのは、何ていうかペットに洋服着せちゃうようなエゴっぽいものではないのか?

ちょっと爆発してしまいました。こんな事書くと、VC嫌いとか子供嫌いの人非人とか言われそうですね。

上で挙げた批判見たいなものは、VCがちゃんとその仕事をしていないんじゃないか、という疑問の類なのだと思います。でも、気になるのは、本当にどこかのラインで埋まらない世代間ギャップみたいなものが生じてきてしまっているのだろうか、ということ。

この記事でも触れていますが、90年代のインターネットバブルの際には、若い人の意見を聞くなんて事はなかったそうで、VCも自らどっぷりつかって Amazonで本を買ったりNapsterから音楽をダウンロードしていたらしいのです。それが今回は「分からない」というお手上げ状態。Web2.0関連はやはりバブルでピンと来ないものに無理やり投資すべきではないということなのか、それとも実際の年は何であれ、頭の固くなってしまった人には「分からない」という領域、或いはやる人=分かる人、やらない人=分からない人という領域にインターネット関連技術が来てしまったのか…?   皆さんどう思われます?

纏まりの無い話になってしまいました。当面のところ、インターネット関連でVC投資にお悩みの方は通常通りにVCにアタックするのではなく、その子供達に売り込むのが良いかもしれないですね。向こうがその気ならその裏をかくというのもアリでしょう。

あ、それから、日本風の湯沸しシステムの深ーいお風呂ってこの辺でも手に入るのでしょうか。知っている方がいらっしゃたらぜひ教えて下さい。 では。