IACもインキュベーターに名乗り
どうも。あっという間にもう6月ですね。月日が経つのが毎年速くなるような感じがします。
今日は、以前に書いたインキュベーターの小ブーム再来に関連した、新たなニュースを。
ニューヨーク拠点のメディアコングロマリットのInteractive Corp (IAC)がPrimal Venturesという名でサンフランシスコにコーポレートベンチャー部門を開設するとのこと。IACはこれまでTicketmaster、 LendingTree、Ask Jeeves、Match.com、Evite等のネット企業を買収してきましたが、ベンチャー投資という形は初めての試みだそうで、現在 Match.comを率いているJim Safkaが担当するらしいです。
“We’re interested in things that will complement IAC’s portfolio,” said former Match.com CEO Jim Safka, who is moving from Dallas to San Francisco to launch the operation. Its goal: to incubate some companies, roll up others and find promising start-ups that it can bring into its fold.
Safka says he’ll be shopping first for wireless and video start-ups, companies in the jobs and recruitment category, and sites focusing on the consumer-content side of health care.
これは先日お伝えしたような新たな形のインキュベーションではなく、また純粋な投資でもなく、なるべく早い時期に手をつけておいて芽が出たものを刈り取る、という旧来のおいしいとこ取りCVCパターンという様相を呈していますね。
そして、投資分野はまさに流行りもの。今からこれらに投資?とちょっと思ってもしまいますが、他のVCと共に投資するということはラウンドB以降が大半でしょうから、まあ滑り込めるところもあるでしょうね。こういうパターンのCVCは一番最後にやってきて、景気が悪くなると真っ先に逃げ出すと揶揄されることも多く、このニュースの反応にはやや冷ややかなものが多い様です。
これまでかなり成熟したベンチャーを買収してきただけに、初期のベンチャーをいきなり買うのは躊躇されるので、ちょっとお金をだして様子を見ることでリスクを回避しようというのと、VCの輪に入ることで良い話が早く廻ってくるようにしたいというところが狙いのようです。既にVCとの戦略的な関係は打診しているようで、ウェブ系に多く投資しているVCにとってはexit候補のニーズが分かってwin-winな部分もあるようです。
ただ、ウェブ系の起業家、ベンチャーコミュニティーの間ではIACの評判はかなり悪いようです。大企業的で、傘下に入った企業にはあまり利点がない上に縛りがきついということがちらほら言われています。またかなりアグレッシブな法的手段で競合阻害ギリギリのことをしているという見方もあるようです。
という訳で順調とは言い難いスタートですが、旧態メディアとウェブ系企業の距離感が近づいている今、どのような展開になるかなかなか興味深くはあります。他のメディア企業も同様の試みをするのでしょうか。
起業家側にとっては、こういったタイプのCVCから投資を受けるのはVCやエンジェルは勿論のこと、以前に触れたインテルキャピタルのようなCVCから投資を受けるのともかなり異なるということを認識する必要があります。もちろんタームにもよりますが、ひもがどのような形でつき、後の行動にどのような影響があり得るのかを慎重に考慮すべきです。資金は平等ではありません。知らぬ間に囚われの身になってしまったということにだけはならないよう、相手のアジェンダを常に念頭におくことが重要ですね。
今日はこんなとこで。ではまた。