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久しぶりにちょこっとプレゼンの話を。
資金調達や初めて会う人に自分のスタートアップを簡単に説明するためのスライドには、実はある程度きまりがあります。もちろん用途や聴衆に合わせて調整が必要ですが、簡単に言うと、10枚くらいで端的に以下について語る必要があります。
- Problem
- Solution
- Underlying magic /Technology
- Team
- Business model
- Status / Traction
- Competition
既に製品がある or サービスを開始している場合には、最後の二つが特に重要です。Tractionに関しては前にもかなり書いた気がしますが、どれだけの期間でどれだけのユーザーがついたか等をどどーんと数字で客観的に示すのが何よりも効果的。
Competitionは軽視される傾向があるのですが、実はかなり重要です。聞いている人は「xみたいなもの?yと何が違うの?」というふうに、自分の持っている脳内レファレンスと比して理解したいものなのです。だったら、はなから自社として理解して欲しい枠組みで説明すべきです。(よく「競合がいない」ということを言う人がいますが、本当に競合がいないのは本当に稀です。何らかの枠組みで括れば競合はいるので、よく考えて示しましょう。そうしないと、市場リサーチ不足などと思われておわります。)
こう概念で言われても、実際どういうスライドが使われるの?と思われるかもしれません。そういう時は、例をみるのが一番。でも実際に使われるスライドを見る機会はあまりないですよね。先日Bufferというスタートアップが「$500,000資金調達するのに実際に使った資料」として貴重なスライドをシェアしていたので、参考にしてみてください。何の派手さもない資料ですが、必要な情報は入ってます。綺麗でなくても、英語の文章もあんまりなくても、こんな感じでいいんです。原文中にはTractionやCompetitionに関する詳細な説明もあるので、わかりにくいと思われる方はぜひぜひ読んでみてください。
では今日はこの辺で。
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まず自己資金や知人・家族からの支援で立ち上げたとして、じゃあ次の段階として$1M(約1億円)をエンジェルやVCから調達しようという場合、どの程度のレベルまで到達していれば資金調達が可能なんでしょう。
シリコンバレーにおける「相場観」みたいなものが、先日Tech Crunchに掲載されていました(Angel ListのAsh Fontanaによるもの)。それによると、チームやプロダクト自体よりも、何よりも、Traction(ユーザー数などで計れる、どれだけ市場で受け入れられているか、という指標)が大事とし、以下の例が挙げられています。
– Enterprise: 1,00 seats @$10/seat/month
(法人向けの製品の場合、例えば1ユーザーあたり月額$10の製品だとして、1000ユーザー)
– Big Enterprise: 2 pilot contracts, some $
(大企業向けの製品の場合、2社とのパイロットプロジェクト+いくらかの収入)
– Social: 100K+ downloads/signups
(ソーシャル系のサービスの場合、10万ダウンロード/サインアップ)
– Marketplace: $50K revenue/month
(マーケットプレース的なサービスの場合、売上げ月5万ドル(約500万円))
– E-commerce: $50K revenue /month
(Eコマースの場合、売上げ月5万ドル(約500万円))
もちろん、これはあくまでもざっくりな感覚値なので、これらより少なくても調達できる場合もあれば、多くても他の要因で調達できないこともあります。起業や製品・サービス開発にあまりお金がかからない今、 Tractionは確かに非常に大切で、そのハードルはどんどん高くなっているように思います。市場の大きさも違うので、日本国内では大分違う数値になるかと思いますが、どうでしょう。
一つ裏技というか、Traction以外に重要なものがあるとすると、いわゆるSocial Proofです。その界隈で有名で影響力のある人のお墨付きかどうか、ということですね。リスク回避もあって投資家は群れる傾向があるので、例えば、マーク・アンドリーセンがSeedでお金入れている、という状況であれば、資金調達は出来てしまいます。じゃあそういう人たちに、どうやって投資するなり、ボードやチームに入ってもらうなりするの?というと、それはそれで鶏と卵の難しい問題ではありますが。
普通のスタートアップはまずはとにかくTractionの獲得に励みましょう。
以上参考値でした。