tech venture business » Posts in 'ベンチャーを取り巻く人々' category

インキュベーターの小ブーム再来

どうも。随分と間が開いてしまいました。すみません。GWでバカンスへ行っていたと言いたい所ですが、実はほぼ仕事に追われておりました。たまにあるんですね、こういう事態が。普段は日本に比べて断然のんびりとした生活をしているんですけどね。

さてさて、気を取り直して久々のエントリーです。最近幾つかの記事に「近頃インキュベーターが増えている」という話題があったのでその件について触れたいと思います。

前回のドットコムバブルの最盛期には約700ものインキュベーターが存在し、バブル崩壊後その80%以上が消え去ったそうです。当時のインキュベーターのスタイルがバブルをより助長した面もあり、incubatorならぬincinerator(焼却炉 – お金を湯水のように使ったけども価値を生まなかったという意味なんでしょう)と揶揄されたりもしたようです。

そんなインキュベーターブームが再来するということは、やはりWeb2.0バブルなのか?それとも最近生まれているインキュベーターは過去のものと一線を画するのか?というのが気になるところですね。

この背景には二つのことがあると思います。

一つはこのブログで何度か触れてきたように(エントリーの最後に関係記事へのリンク並べておきます)、ウェブやソフトウェア等の分野においては案件ごとの必要投資額が非常に少なくなったのに対して、投資家側では資金が余っているという状況があり、従来のVCモデルが成り立たなくなるような構造変化が見られること。

そして、もう一つは、ウェブや携帯のサービスに限って言えば、どれが流行るかはやっぱり事前には分かり得ない。なので、結局数を多く放つしかないのかもしれない、ということです。

新たに出てきたインキュベーターには大きく二通りあるようです。一つはこのブログでも何度か言及したPaul GrahamのYCombinatorを模したもの。コロラドを拠点としたTechStarsやYEurope等がその例です。(詳細は其々の TechCrunchの記事をどうぞ TechStars YEurope ) こちらはインキュベーターを運営しているいわばメンターの力量が問われますね。形はまねができてもPaul Grahamのオーラはかなりのものですからね。

もう一つは起業家とエンジニアからなるチームがあって、プロジェクトベースでサービスを幾つか立ち上げて、軌道に乗ったらスピンオフするというもの。ベンチャーがホールディング会社になる感じですね。以前触れたObvious Corp(近頃Twitterがヒットしたので外だししました)、それからシリアルアントレプレナーのNaval Ravikantが始めたものでもう少しきっちりした仕組みのあるHitForgeがその例です。両方ともサンフランシスコを拠点にしています。今月のBusiness 2.0の記事でNavalはこれをHollywood modelだと称しています。映画スタジオのようなもので、マイルストーンにそって開発し、コンセプトを試して、流通網へのアクセスを提供するのだ、と。

後者は結構面白い試みだと思います。一つ一つはプロジェクトなので、必要に応じて人員配置も資金投入もフレキシブルにできるし、個々のプロジェクトは企業本体のアイデンティティとは切り離されているのでダメなものはすぐ切れる等、個々のベンチャーの場合にはできないレベルのリスク回避ができそうですね。アイディアはたくさんあって一つの事に絞りたくない場合もありますし、それぞれのアイディアがプロダクトとして関連性の低い場合でも、インキュベーションという形を取って本体と切り離している場合なら「フォーカスを失っている」という批判からも一応身を防げそうですね。

とはいえ、もちろん資金面の問題や、ロックされた人材からどれほど多様なアイディアが生まれるか、とかCEOや主要メンバーが多くのプロジェクトに注力できるか、等の様々な難問も立ちはだかっているので、これからどうなるか見守るしかないですね。日本の場合、どちらかというと一つのベンチャーが様々なサービスを開発し続けてデパート化して行く傾向があるかと思いますが、このような取り組みは一考の余地があるかもしれませんね。

これらのインキュベーターはまだ始まったばかりなので、今後どうなるか楽しみです。数年後にVCとの境界がどのようになっていくのかは中々面白いテーマのように思いますが、如何でしょうか。

今日はこんなとこで。ではまた。

<以下VC構造変化関連の過去エントリーです>

VCから資金調達すべきかすべきでないか、それが問題だ

YouTubeから考えるVCの構造問題

VCがエンジェルになる?

シリコンバレーセレブを探せ

どうも。さてさて月曜なので軽くいきます。

サンフランシスコベイエリア、そしてシリコンバレーはNYやLAなんかの人によると「グラマーじゃない街」と言われる事があります。巨万の富を持つ人もかなりいますが、テクノロジー起業やベンチャー投資でその地位を築いた人が多く、いわゆるold moneyという家柄の良い浪費的なお金持ちというのが少ないというのも1つの要因なのでしょう。とにかく華や艶や粋のような言葉が似合わず、やっぱり全体的にGeekyなんですね、これが。

なのでセレブの基準も当然異なります。有名人を見た話と言えば、「昨日お寿司屋さんでニコール・キッドマンを見た」とかなんてことはなく、「カフェ /バー/ダイナーで(  )のCEOを見た」という場合が多いのです。そんな場合は勿論、サインとか求めたりしないで、図々しく自己紹介して自分のベンチャーのエレベーターピッチとか繰り広げるんでしょうね。

そういったローカルセレブとお知り合いになれるかも知れない場所が、Valleywagで色々な人のインプットを元に現在作成されつつあるようです。ベイエリア在住の方で一緒に働く仲間や投資家を探している方々、日本からシリコンバレー視察に来る方々、参考にされては如何でしょうか。

さすがにスティーブ・ジョブズとかラリー・エリソンをレストラン等で見かける確率は低いと思いますが、最近話題のベンチャーのCEOや天才プログラマーとかに出会える可能性は結構あると思いますので、興味のある方はぜひお試しあれ。

ではまた。