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VCの数が5年で半減!

どうも。最近忙しい日が続いております。なので今日はさくっと、業界再編の話を。

アメリカのVC業界団体であるNVCAによると、アメリカにおけるVCの総数は2001年に946社でピークに達し、2006年には798社と15%減少したそうです。確かに当地ではVC業が発達していますが、そんなに大数だとは知りませんでした。

しかしながら、この数字はどうやら実情を正しく示していないようです。OVP Venture Partnersの分析によると、実際の淘汰はもっと厳しくて、この5年間でVCの数は半減したとのこと。

NVCAの数字にはいわば名目上存在しているものも含まれており、実は、新たなファンドが得られずメンバーの大半が去り、既存のポートフォリオを期末まで管理しているだけというような企業を除けば、2006年にアクティブなVCは587社になるというのです。(OVPは2001年のピークは1156 社としています)

業界再編は時に必要不可欠ですが、5年で半減っていうのもすごいですね。この規模からすると、恐らくバブル時に猫も杓子も的に増えすぎてしまったんでしょうね。再編が進むと全体の質は良くなるはずで、NVCAによると投資のリターンは過去5年は2.7%、過去3年は9.6%、直近の12ヶ月では 18.1%と改善しているということです。

ところが、このリターンについても懐疑的な意見もあるようで、PEHubでは次のように言っています。

As I reported a few months back, the average VC fund raised between 2001 and Q1 2007 have a median IRR of -2.6 percent. And it’s even worse for funds raised since 2003, where it comes in at -5.7%, with the upper quartile benchmark at -0.2 percent. In other words, more than 75% of VC funds raised since 2003 are underwater.

2003年以降のファンドではマイナスだと結論付けるには時期尚早な気もしますが、どうなんでしょう。

VCの数が半減したとはいえ、ベンチャー投資に流れ込む額が減ったわけではないようで、2000年にはファンドの規模は平均$100Mだったのが、 2006年には$200Mと倍になっているようです。それでも、このブログでも何度か触れていますが、現在のように資金需要が少なく一件ごとの投資額が少ないような流れが構造的な変化であるならば、今後も更に淘汰はありそうですね。より資金を必要とする業界・業種に投資できたり、様々なステージに投資できたり、質の良い小額のディールを数多く築くことができたり、タームを工夫する等、フレキシブルに対応できるVCのみが成功していくのかもしれません。

1社ごとのファンド規模が増えても、そのファンドをフルに活用して全体で大きなリターンを上げることが出来なければ、ベンチャー投資自体に流れ込む資金が萎んでしまうので、起業家のためにも頑張って欲しいものです。私もM&Aを通じてVCにリターンを出す側ですので、他人事ではありませんが。

今日はこんなとこで。ではまた。

エンジェル投資概況

どうも。ここ最近、幾つかお問い合わせがあったので、前回に続き、資金調達の話を。今回はエンジェルの投資概況です。

PEHubの記事によると、07年上半期のエンジェル投資は昨年同時期より減少しているそうです。一件ごとの投資額平均は減少し、個人投資家数は増えたものの一人当たりの投資額が減少したということ。あんまり良い話ではないですね。数字を引用します。

– 投資総額:$11.9 billion (昨年同期比6%減)
– 件数:24000件 (昨年同期比2%減)
– 業界は多岐にわたっており、ヘルスケアは全体の22%、ソフトウェアは14%、バイオテック、エレクトロニクス、コンピューターハードウェア、ITサービス、リテール、産業/エネルギー系が各10%程度
– 個人のエンジェル投資家数:140,000人 (昨年同期比8%増)

また、この記事によると、エンジェル投資にどうやらちょっとした変化がおきているようです。

While angels are best known for seed and startup-capital, researchers say they’re increasingly moving into later-stage investments. In the first half of the year, post-seed and post-start-up investments accounted for 48% of angel expenditures. Says Jeffrey Sohl, director of the Center for Venture Research: “While angels are not abandoning seed and start-up investing, it appears that market conditions, the preferences of large formal angel alliances, and a possible slight restructuring of the angel market are resulting in angels engaging in more later-stage investments. “

従来のシードよりも後の段階への投資が増えており、その理由は、個々人ではなくきちっとしたエンジェル集団の一員として投資することが好まれる傾向にあることと、エンジェル市場のちょっとした再編の可能性にあると。

以前お伝えしましたが、例えばCharles River Venturesが一口$250k程の投資をconvertible noteの形で行うようになるなど、VCがエンジェルの領域に入ってきているという流れがありますが、一方で、エンジェルが投資ステージとしてはVCの領域に入っているということになりますね。一時期の状況なのか、それとも何か構造的な変化が起こりつつあるのか、ちょっと様子見が必要そうです。

それにしても、エンジェルが組織化したものばかりになってしまうのは如何なものでしょうね。皆がVCと同様に詳細で長い案件採用プロセスを取るようになると、起業家にとってはちょっと厳しいですよね。

そんな訳であんまり明るい話ではないですが、起業家の皆様がんばって下さいねー。

ではまた。