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ベンチャー企業と政治とお金

どうも。今日は短く、先週のニュースで思ったことを。

先週、アル・ゴア氏が超一流VCのKleiner Perkins Caufield & Byersにパートナーとして加わるという話がありました。彼はご存知の通り環境問題に熱心に取り組んでおり、ここ暫らくクリーンテクノロジーに注力しているKPCBとマッチすることから、このような運びになったと。

確かに環境技術という専門性でのフィットはあるわけですが、それだけでは通常のパートナーという立場は正当化できるものではないように思います。

というのも、KPCBはノーベル賞受賞者という肩書きで箔付けをする必要はないですし、投資先の選定・サポートをするのにも大学教授等の専門家へのアクセスは事欠かないはずです。勿論ベンチャーキャピタルなどの金融機関が政治家や同様のセレブと関係をもつことは珍しくはないのですが、通常、アドバイザーやリミテッドパートナー等といった、緩い関係です。実際、KPCBではStrategic Limited Partnerとして前国務長官のコリン・パウェル氏も在籍しています。

では、なぜ、実務を担当するはずの、通常のパートナー職なのか。それは恐らく、環境問題がプライベートの資金投入だけでは上手く行かない、政治・政策とは切り離せない性質のものだからなのだと思います。そうした両輪の片方を動かすためには、政界へのコネを提供できるだけでなく、環境に関する税制や規制、法整備に実際に影響力を持って働きかけることが出来る人が必要で、そこをぐいぐいと推し進めてもらうためには、緩い関係では充分ではなく金銭的その他のインセンティブが望ましいため、パートナーという立場で迎えたのではないでしょうか。

実際に上手く機能するかは見守るしかないですが、新しい業界を作り出すことのスケールの大きさと難しさ、そして実行に移すために異なる強みをもった人々が結集できることのすごさ、を感じた次第です。

取り留めないですが、今日はこの辺で。ではまた。

シリコンバレーのマフィア達

どうも。今日は新種の、しかし極めてシリコンバレーらしい繋がりの話です。

以前にもちょっと触れたと思いますが、ネット上での決済サービスにPayPalというものがあります。2002年にeBayが買収し、その後もかなりの成功をおさめていますが、今では以前の従業員は殆ど残っておらず、MBAがわんさかいるキチッとした会社です。では元のPayPalのメンバーがどうしているかというと、かなりの人が起業し、その他も他のベンチャーに参画したりVCになったりしています。

分野はインターネットに限らず多岐にわたっていて、投資会社、慈善団体、太陽熱発電などのエコ企業から、果ては火星への植民を志している企業まであります。ネット系でその人達が絡んでいるものをざっと挙げても、YouTube、Facebook、LinkedIn、Digg、Slide、Yelpなどがあり、「卒業生」の活躍ぶりは目覚しいものがあります。

その裏には、元からそういう優秀な起業家タイプが集まっていたとか、PayPalでの経験に感化されたとかだけではなくて、彼らがその後も連絡を密に取り合って、お金と人、アイディアとアドバイスが回りまわる独自のネットワークを築いたということがあります。これは強いですよね。リッチがさらにリッチになっていく仕組みの王道です。そんな彼らは自らをPayPalマフィアと称しているとのこと。

そのマフィアとは一体どんなものなのかを探る記事が昨日のFortuneにありました。長いのでリンクを張るだけにしますが、面白かったのでぜひ読んでみて下さい。PayPalがどのように人材を集め、どのようなカルチャーを創り、どのような軋轢があり、渦中の人が何を感じていたかに触れることができます。こうしてみると、PayPalはいわゆる成功法則からはかなり外れていたようなので興味深いです。

共同創業者のPeter ThielやMax Levchinはかなり尖がった人達のようです。この記事ではその変わり者ぐあいを些か強調しすぎている感がありますが、ネタとしては面白いです。例えば、Peter Thielはサンフランシスコの豪邸に住んでいるだけでなく、執事がいるとか。執事って一体どこから探してくるんですか。ハイソと無縁の私には到底分かりません。また、記事にちなんだ洒落として彼らがマフィアっぽくしている写真があるのですが、かなり笑えます。

シリコンバレーにはこれ程組織だっていなくても、数多くの人的ネットワークが複雑に絡む生態系があり、「正しい」人脈の重要性を思い知らされます。そういったmeritocracyをベースとしたシリコンバレーインサイダーにどうやってくいこんでいくかは、私にとっても今後の長期的な課題になりそうです。

今日はこんなとこで。ではまた。