tech venture business » Archive of '11月, 2013'

リーンスタートアップの実践

しばらく前にシリーズとして書いていたリーンスタートアップについてですが、そういえば最近ご無沙汰気味だったので今日はその件を。

本ブログ及びSlideshareでリーンスタートアップのすごく簡易なまとめをいくつか掲載しているんですが、お蔭様で多数の方々が閲覧して下さっているようです。特にMVPはなんと65,000弱の閲覧数。ほんまかいな。

まあ、いずれにせよ関心が高いようですので、今後またリーン関連には力をいれることにします。もうちょっと色々書くつもりでいたのが延び延びになってしまっていましたし。

さて、関心の高さにもかかわらず、日本での実践ケースをあまり目にすることがないという実情がありますが、今日は、数少ない例として、お友達のスタートアップTokyo Otaku Modeの話をシェアします。

Tokyo Otaku Modeは日本が誇るポップカルチャー(主にオタク文化)を世界に発信するスタートアップですが、創業当時は皆本業を抱えながらサイドで行ったプロジェクトであったにも関わらず、現在ではFacebookページで1400万弱の驚異的いいね数を誇るとっても人気のあるサービスへと加速成長中であります。

その成長の秘訣のひとつはリーンスタートアップの実践のようです。社内ではリーンスタートアップの書籍の要点をわかりやすい日本語でまとめて共有しているとのこと。詳細はブログ記事「リーン・スタートアップを実践して分かった5つのこと」で垣間見ることができます。記事ではリーンスタートアップとは何か、気をつけるべき点・重要な点は何かなどに触れていて、リーンスタートアップに関する日本語の文献としては非常に包括的でわかりやすいものだと思います。ぜひご参照あれ。

関心の高いMVPという概念は、何となく分かるようでいてでも実際に把握するのが難しいものだと思います。記事中にTokyo Otaku ModeがECサービスを始める際の例がありますので、以下抜粋します。

ちなみに、Tokyo Otaku Modeでは、日本のアニメグッズを海外に販売する海外ECを主力事業として進めていっていますが、最初は複数商品を購入できるショッピングカート機能と いう、ECでは当たり前の機能さえなかったのです。僕が考える海外ECの最低限の機能は、「商品が買える」「商品がお客さんに届く」こと。これ以上は 「リーン・スタートアップ」の概念からすると余計な機能です。「複数の商品がまとめて買える」機能はおろか、最初は「購入ページ」が1枚あるだけで、 「トップページ」も「商品の一覧ページ」もありませんでした。そもそもニュースメディアだったTokyo Otaku Modeのファンが海外ECというサービスを使ってくれるかどうかわからない状況では、「お客さんが海外ECサービスを使ってくれるかどうか」の検証がま ず先なのですね。

端的に言うとかなりのそもそも論を検証するのがMVPの役割です。MVPには様々な形がありますが、鍵は、検証すべきことは何かをきちんと一歩引いて考え、それを検証するのにもっとも近道となることを具現化することです。最小限機能のサイトかもしれないし、動画やパワーポイント、或いは人力とのコンボという場合もあります。これには常識やそれまでのやり方から一歩離れて考える必要があり、クリエイティビティが要求されます。このような他社の事例を見てみるのもアイディアの参考になるでしょう。

他にも有用な点がたくさんありますので、ぜひ上記ブログ記事読んでみてください。

では今日はこの辺で。

100%在宅でメール無しのスタートアップ

今では190名ほどに成長した社員のほぼ全員が家から働き、社内のコミュニケーションにはメールを一切使わない、など斬新なことでもよく知られているサンフランシスコ拠点のスタートアップがあります。さてどの会社でしょう?

会社名はAutomattic。WordPressを運営している会社、といった方が分かるかもしれませんね。私のこのブログもWordPressですが、2003年の登場からじわじわ成長し、現在では世界中のWebサイトの20%を構成し、バリュエーションは$1 billionといわれています。

創業者は当時若干20歳だったMatt Mullenweg。CEOは早い段階から外部の「大人」を入れていましたが、今でもWordPressの顔として活躍中です。ちなみに、私の頭の中ではかわいい少年風だったのですが、最近写真を見ると、まあすっかりイケメンになってるではないですか!

これ↓最近。

 

 

 

 

 

私の記憶。4-5年前↓

 

 

 

 

 

 

いやー、オバサン年とるわけだw

さて、で、組織の話。

もともとはオープンソースなので、いわばその仕組みで組織がなりたっており、必要な技能がある人ならばどこにいてもOKということで、社員は28カ国141都市にいるそうです。そんなわけで、サンフランシスコにお洒落なオフィスはあるものの、多くの人が家などから働いています。会社からはコンピューター関連の支給に加え、ホームオフィスをデコったり、改善したりするのに$2000が与えられるとのこと。

普段のコミュニケーションはチャットやGoogle Hangout、自社のブログツールを使いますが、Hack weekとしてチームを世界中のどこでも結集できる予算もつけられているそうです。

便宜性云々はもちろんですが、こうやって自社のツールを使い、且つオープンソースのコントリビュターと同様散らばった環境で働くということで、ユーザーのニーズを自ら感じられるんですね。まさしくEat your own dog foodなわけです。それでいて、会社として機能するためには様々な試行錯誤があったことでしょう。

この秋、そういった工夫について本が出まして、中々の評判のようです。コンサルタントが社員となりその1年を綴ったもので、タイトルはThe Year Without Pants: WordPress.com and the Future of Work。分散型組織やマネジメント全般、働き方の未来など、面白い話が一杯です。興味ある方はぜひ。

では今日はこの辺で。