ディベートに見習う The art of spin
どうも。残り一ヶ月を切った米大統領選挙ですが、昨夜は第2回目のディベートが行われてましたね。ご覧になりましたか?
一視聴者としてみると、ロジックがおかしいとか、答えになってないとか、これはすごいとか、あーだこーだと言えるわけですが、自分がその立場になることを想像するとこれは相当に難しいことだなと思います。モデレーターが事前に明らかにしていない質問をして、候補者がそれに制限時間内(確か2分とか)で答えるという形になっているのですが、事前にかなりの準備ができコントロール可能なプレゼン等と違って、Q&Aというのはかなり厄介ですよね。しかもこの制限時間からして、Yes/Noのような短い答え以上の答弁を期待しているわけです。
こうした際に重要なのが、spinするということです。この言葉、日本語にしづらいのですが、詭弁とはちょっと違って、どちらかというと、以前に触れた「物は言いよう」というのに近いかもしれません。厳密な定義はさておき、一般的な用法では、自分や自分が代表している組織に有利になるような点に論点を持っていくとか、非難されている或いは疑わしい事象等について活用する情報やその表現を上手く選択することで良く見えるようにするということです。
PRや政治家はそれこそが仕事というくらいですが、程度の差こそあれ、マネジメントや営業の人も頻繁に経験しているかもしれません。さらにわかりやすい例では、就職の面接なんかがそうですね。
私の関わるベンチャー企業の売却では、例えば、「なぜ会社を売るのか」ということをポジティブに答える必要がありますし、収益やトラフィックが低い場合には、そういった数値が会社の価値を必ずしも反映しないということを論じる必要があったりします。
そのようにスピンはかなり重要なのですが、私はQ&Aのような咄嗟の場面はまだまだ苦手で、ともすればSarah Palin状態になってしまうこともあります。常々英語のせいにしてたのですが、今日ふと、では日本語だとできるだろうかと思いをめぐらせてみました。確かに英語でやるよりはましでしょうが、やはりある程度考えて準備をしていなければ日本語でも厳しいような気がしますし慣れというのもあると思います。ただ、私が日本ではそういう立場にいなかったせいかもしれませんが、こういう答弁やスピンの重要性はアメリカや他の欧米諸国での方がかなり高いように思います。論理の背景の違いだと思うのですが、実際どうなんでしょう。いずれにせよ更なる精進が必要そうです。
そんなこともあって、ディベート楽しく鑑賞しているわけですが、もう一つこの点で面白かった映画を思い出したのでご紹介します。数年前にでたもので、Thank you for smokingというものです。タバコ産業のロビイストでPRを担当している主人公が、逆風の中巧みなスピンを活用する風刺コメディで、他にもアメリカ文化の様々な要素が入り混じった中々良く出来た映画です。ちなみにこの映画のExecutive Producerには以前にも触れたPayPal創業者Peter ThielとMax Levchinが名を連ねています。あまり華のないシリコンバレーとしては珍しいのではないでしょうか。以下、映画の一部です。
苦労話、上手くなる方法などありましたらぜひお寄せ下さい。
では今日はこの辺で。