特にネット系のベンチャーにおいては必要資金がかなり少なくなり、VCの側でも構造変化が迫られている、ということについて過去に何度か触れました。VCごとにファンドサイズ、スタイル、要員等の様々な違いがあるので、この新しい状況に対応する戦略は異なりますが、いくつかはシードやかなり小額のシリーズA投資を幅広くするなどの積極策にでています。
今日はそのような投資を積極的に行っているVCについて記している記事がありましたので紹介したいと思います。これからアメリカで資金調達をする方々はぜひ参考にしてみて下さい。アメリカでのVCの数は非常に多いですし、其々のファンドサイズ、期間、フォーカスしているエリアなどのマッチングもありますから、幅広くかつ個別に検討する必要がありますが、まずはスターティングポイントということで。
元記事には各VCのスタンスや特徴などについてのコメントもありますので詳しくはそちらを見ていただくとして、ここでは要点をリストの形でまとめることにします。なお、投資先企業は各社他にもたくさんありますが、記事内で触れられているもののみ記載しています。
Accel Partners
拠点:Palo Alto (シリコンバレー)
これまでのネットベンチャー投資例:RealNetworks, Facebook
名門。もとよりアーリーステージには投資してきたが、3年前にコンシューマー向けネットサービスやオンラインゲーム等についてシード的な投資を積極的に行うプログラムを立ち上げた。平行してシリーズDなどのレイトステージの案件にも投資している。
Bessemer Venture Partners
拠点:Menlo Park(シリコンバレー)、New York、その他アジア等
これまでのネットベンチャー投資例:Hotjobs.com, eToys, Skype, Zopa
老舗。幅広いジャンルに投資しており、その一環としてコンシューマー向けネットサービスにも選択的に投資。海外案件に積極的で、昨夏時点でインドにおける投資は10億ドルに達している。
Charles River Ventures
拠点:Waltham(ボストン近郊)、Menlo Park(シリコンバレー)
これまでのネットベンチャー投資例:BuddyTV, Vlingo, Lookery
東海岸名門。ローンの形でシード資金を提供するQuickStartプログラムを2006年に開始。[詳細はVCがエンジェルになる?を参照のこと]
First Round Capital
拠点:San Francisco
これまでのネットベンチャー投資例:1-800-FREE411, MyYearbook.com, Dayak
2004年の創業以来60社ほどに投資。年間15-20の投資を目指しており、平均投資額は$400K-800K。パワーポイント上のアイディアの段階でも投資している。
Flybridge Capital Partners (旧 IDG Ventures Atlantic)
拠点:Boston
これまでのネットベンチャー投資例:Blackwave, Transpera
特に動画系に注目している。但し非常に込み合っている状況なので、勝ち馬が見えてきてから大きく乗ることも考えている。
Greycroft LLC
拠点:New York, Los Angeles
これまでのネットベンチャー投資例:The Huffington Post, paidContent.org, WideOrbit, Collective Media, Buzzd
2006年創業。デジタルメディアベンチャーに対してスタートアップ時から投資。初期投資は$500K-$3Mで、段階ごとに追加投資する。
Madrona Venture Group
拠点:Seattle
これまでのネットベンチャー投資例:Farecast, Classmates Online
大学でのリサーチペーパーなどアイディア段階も含め初期段階の投資に強み。競合は他のVCよりもむしろ自費でやろうとするベンチャー企業、とのこと。
Milestone Venture Partners
拠点:New York
これまでのネットベンチャー投資例:TargetSpot, M5 Networks, Outside.in, GenomeQuest
メディア、マーケティング、及び金融・医療業界向けのITサービス等に投資。初期投資は$1M-1.5Mくらいで、追加投資としても同程度を準備。年間4-5件。売上げが既にあるベンチャーで、資本効率がよく黒字化までに$5M程度しかかからないような企業が対象。
Mohr Davidow Ventures
拠点:Menlo Park(シリコンバレー)
これまでのネットベンチャー投資例:Hi5, PBwiki
名門。創業してからの期間や規模よりも、どのくらいスケールする可能性があるかということを見て、相対的に「アーリーステージ」と捉えて投資している。
Sequoia Capital
拠点:Menlo Park(シリコンバレー)
これまでのネットベンチャー投資例:Yahoo, Apple, Oracle, Cisco, PayPal, Google, YouTube, SearchMe, FunnyOrDie
名門。他社に先駆けて経験の乏しい未来の大物起業家に投資してきたアーリーステージ投資の代名詞。ハイリスクの投資を好む。
SoftTech VC
拠点:Palo Alto(シリコンバレー)
これまでのネットベンチャー投資例:Truveo, Kaboodle
最初は個人としてのエンジェル投資であったが、4年間にWeb2.0ベンチャー23社に投資し、その内5社から既にエグジットし、ネットベンチャーのシード投資の雄に躍り出た。現在は総額$12Mのシードファンドを持つ。
Spark Capital
拠点:Boston
これまでのネットベンチャー投資例:KickApps, SendMe, Tumblr
2005年創業。シードでは$300Kから、レイトステージへは$20Mまでと幅広く投資。
Union Square Ventures
拠点:New York
これまでのネットベンチャー投資例:Etsy, Tumblr, Tacoda, Feedburner, del.icio.us, AdaptiveBlue, Oddcast, Twitter
アーリーステージのウェブサービスベンチャーに特化。はじめての起業家にも数多く投資。今後は、成長の糊代があるレイトステージのウェブサービスにも投資していく予定。
VCに関しては各社のウェブサイトだけでなく、様々なレビューサイトなどからも情報を得ることができますが、簡単に住み分けを把握できるような日本語の資料があると便利そうですね。ハイレベルな特徴と、投資するセクター、段階、規模等がさくっとわかると良いと思います。VCの皆様、或いは既に様々な VC巡りをされた起業家の方々、ボランティアで作成してみませんか?