CiscoのM&A戦略 – Part 1
どうも。暫くあいてしまいました。皆さま如何お過ごしでしょうか。
今日は私的には久々に面白い記事に出会いました。Business Weekの記事でCisco の新たなM&A戦略について触れたものです。Ciscoはこれまでテクノロジーベンチャーを中心に数々の買収を行ってきましたが、既に巨大企業であるCiscoが更に勢いよく成長し続けるために、今後はより大規模の買収を行っていくつもりだというものです。
Cisco made its name by buying small, usually privately held companies just as they finished developing new technology. Cisco would use its sales force to sell the new gear to corporate customers who wouldn’t open their doors to a startup. Sales would surge.
But Cisco is now so large that it needs to make bigger plays to have an impact on the top line. It’s stalking companies that already have substantial revenue, along with the potential for much more growth. …”It’s the only way to move the needle at a company of this size.”
既に年間$34 billionもの売上を出す企業が、年15%の成長を目指すとなると、確かに小さく買って大きく育てるというこれまでの手法だけでは難しいのかもしれません。ですが、この新たな方針でいくと、未進出の分野・市場或いは同じ生態系の他のレイヤーに触手を伸ばすという事ですから、今後Ciscoという会社の姿がかなり変わるのではないかと思われます。
皆さんは、ベンチャーを買収するのと、既に実績のある大きめの企業を買収するのと、どちらがリスクが高いと思いますか? 事業提携等とは異なり、 M&Aの場合は一般的に買収の規模が大きいほど、実は失敗のリスクが高いのです。特に自社と同程度のサイズの企業との合併は難しい事が多いのが実情です。
もちろん買収に必要な資金が多額だということもありますが、買収が自社の本体そのものに与える影響が非常に大きいという事と、買収後の統合が非常に難しいという事が大きな要因です。況してや、最近日本で増えている敵対的買収となると、業界のコンソリデーションという意味では意義のあることも多いですが、1+1=2以上の成功をする確率はかなり低いといっても良いかと思います。
One thing Cisco won’t do is try to strike a mega-merger, with a company about the same size. That puts him at odds with rivals such as Lucent Technologies and France’s Alcatel, which recently agreed to combine. “We don’t want to do mergers of equals,” says Hooper. “Really large deals often fail.”
そこでCiscoは巨大買収はしない、とのこと。納得です。
CiscoはR&DならぬA&D (Acquisition & Development)手法を確立したとも言われ、数々の小規模M&Aを成功してきた事で良く知られていますが( 私の記憶が正しければこれまでに買収した企業は120社程に上ります)、近年のScientific Atlantaの大型買収も軌道に乗り、これまでの蓄積から更なる大型買収もいけるという自信がついてきたのかもしれません。このようにリスクの高い大型買収ですが、これからCiscoがどのような企業を選択し、どのように統合の舵取りをしていくのか興味深いところですね。
今日の話はベンチャーに直結しませんでしたが、次回はCiscoがこれまで推進してきたA&Dという、テクノロジーベンチャーを戦略的に買収して自社の成長の糧とする手法について触れたいと思います。
ではまた。