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どうも。今週はテンパり気味でブログを書く時間がなかなか取れませんでした。1月のブログはだめだめ頻度ですねー。2月からはもうちょっと頑張ります。
さて、昨日はpaidContent.org等のブログを運営しているContentNextの交流会に参加してきました。この手のイベントはSouth of Market(かつての倉庫街で再開発されてきているエリアです)辺りのクラブとかでやるもんだと思っていたら、豪奢なパレスホテルの宴会場でしかも 600人くらい来ていました。ウェブでの参加申し込みも数時間で満員御礼となった始末。ブログというメディアの確立とWeb2.0やモバイルコンテンツ等の分野が、かなり真剣にビジネスとして捉えられてきているのだなと感じました。
以前にもちょっと書いたと思いますが、私はアメリカでのこういうネットワーキングパーティーが苦手です。大概知らない人同士を引き合わせるような仕組みなど何も無く、そのような取り持ちをしてくれる人達がいるわけでもなく、はっきりした始まりも終わりも無く、とにかく会場だけが与えられてて、その中で人々が小グループで結構盛り上がっておしゃべりしている感じなのです。ともすれば自分以外はみんな知り合い同士で来ているのだろうか、と思ってしまうぐらいです。
そんな時に一人でポツンとしていると、誰かが気づいて声をかけてくれるかと思いきや、そんなことは殆どありません。逆に一人でいることで「話す価値の無い人」みたいに思われて敬遠されているのかも知れません。そこで手持ち無沙汰なのでオードブルをつまんだりしつつ、気がつけば壁の花となってしょんぼりして帰るはめになったりします。アメリカではビジネスだけでなくホームパーティーなどでも同様の形式なので、苦手だといろんな場所で壁の花になってしまうことが多いかと思います。
日本ではどうなのでしょうか。最近は異業種交流会やら何がしかのオフ会等が多いと聞いていますが、同じような状況なのでしょうか?感覚としてはそんなに露骨に無視されたりしないだろうな、と思うのですが、どうでしょう。
様々な場でネットワーキングをすることの重要性が説かれています。確かに人材を探したり、顧客を開拓したり、就職先を探したり、専門的なことを質問したい時等に人脈はとても有効です。そして人脈の構築には時間がかかるため必要になる前に広げる努力をしておくべきです。分かってはいるけど苦手意識のある方、日本では大丈夫だったけどアメリカでは言葉の壁もあり苦労されているという方、等々いらっしゃると思うので、私が試してみて何とか効果があるなと思ったことを僭越ながら幾つかご紹介したいと思います。
①基本的には場慣れの問題だと割り切り、疲弊しない程度の頻度でこうした会合に出席することを自分に課す
疲弊するとやる気をなくします。私は月1か2くらいのペースでコツコツやるようにしています。
②出席するごとに目的と目標を大まかに立て、それさえクリアできれば成功とする
初めて会った人に売り込みをかけるのは困難ですし効果的でないことが多いです。それを目指すと敗北感が襲うことが多くなりますので気をつけましょう。例えば(ある業界の動向などに関する)知識を増やすというのを目的にして、目標は最低3人と話す、のように楽しめてクリアできそうな辺りを狙いましょう。
③目的と目標をこなすために必要なことは可能な範囲でし、阻むことは避ける
私の場合は事前に参加者名簿がある時などは会社や出席者のことをちらっと読んだり、業界動向に関してちょっと知恵を入れておいたりするようにしています。そして、知り合いとだけ話してしまうことが無いよう一人でのり込みます。(逆に知り合いに見られていないほうが普段と違う振る舞いをしやすいという利点もあります)そして会場では、そんな不自然な状況でなんとかテンションをあげるためにビールを片手に手放しませんが、フォーカスするために食べ物は事前にちょっと食べて会場ではなるべく食べないようにしています。
④自分のように苦手な人は多いのだと言い聞かせる
先日もお伝えしたとおり、内向的な人は結構多いものです。皆場慣れしているだけで、ぺらぺらしゃべっている人ほど内心不安なのだと思い込みましょう。
⑤目が合った人、一人で立っている人、飲み物を取る時などに隣にいる人、にはとにかく話しかけるなどのルールを自分に課す
私の経験上、この話しかけるという行為が一番のハードルです。でもここをクリアしないと壁の花行きは確定…。自分にとって狙えそうな人には話しかけるという決まりを設けて実践することが大切です。
⑥話しかける際の言葉のパターンを用意しておく
まずは とりあえず”Hi. I am (name).” といって握手の手を差し出します。で、その後の取っ掛かりの言葉を幾つか用意しておくと良いと思います。大事なのはYes, No等の一言で応えられるような言葉を投げかけないこと。話を繋ぐために相手に話させるようにします。気の利いたことでは無くても、無難に、「どんな仕事しているの?」で良いと思います。
⑦質問に徹し、話をちゃんと聞いて、また質問をするという形で会話をする
英語の問題もありますし、自分が話すことで気分をよくする人は多いという裏をかいて、自分が話すのではなく質問する側に徹します。相手に興味を示すと良い印象を抱かせるようです。質問の際にちょこっと知識に基づいた気の利いた質問をすることで更に印象はよくなります。また、知らないことや会社の場合は知ったかぶりをするよりは、「勉強不足で」と自ら言ってしまうことで和みますし、相手が物知りのように見えて良いことが多々あります。私は自分の話は聞かれない限りしないようにしています。でもそのために自分の事業を簡潔に言えるようにしておきます。そうすると相手はきちんと聞いてくれるものです。
⑧話がなんとなく纏まってきたら、何かできることは無いかと聞いてみる
これは昨日初めて試してみたのですが、以外に効果がありました。私のやっている事に対して逆に質問してくれたりして。人脈を作るにはまず、自分が役に立つことを示すのが鉄則かもしれません。人に何かを頼む前に自分から率先してみるという姿勢が受けるようです。
⑨後日フォローアップをする
アクションプランがあればベターですが、無くても最低メールくらいは出しておきましょう。⑦で何かできることを言われた場合にはその件を忘れないようにしてフォローアップできるときにします。言ったことを本当に実行するということで関係が築けるものですよね。
ちょっとばらばら書きましたが、今後更に良い方法を学んだ際にはお知らせしますね。皆さんも経験談、良い方法などお寄せください。
今から飛行場に向かいます。ではよい週末を。
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さて、引き続き創業者とCEOの話を。
ちょっと調べてみたところ、ハーバード・ビジネス・スクールの助教授であるNoam Wassermanという方が、この件についてピンポイントに研究されていることが分かりました。ベンチャーの初期の段階で多くの創業者CEOがいわゆるプロフェッショナルCEOに取って替えられるということに興味を抱き、そのパターンを研究しているとのこと。 いやー、意外にいるもんですね。この方、ブログも書かれていて中々面白いので、詳細は是非そちらでご確認頂きたいのですが、ここではリサーチ結果の趣旨だけご紹介したいと思います。
これはFounder-CEO Succession and the Paradox of Entrepreneurial Successという2003年のOrganization Science掲載の論文で、調査対象は計202社のインターネットベンチャーです。(調査方法や結果等の詳細は論文をご参照ください)
①大企業ではCEOがその役割を果たしていない時にはバッサリきられるが、成功に導いたり成果をだしていれば、その地位安泰は硬いものである。一方、ベンチャーの場合、上手くいっていないできられるのは同様だが、実は創業者CEOが初期の段階(前回詳述した技術・製品の開発とそのバリデーションの段階)を上手く導いていればいるほど、退陣させられる可能性が高くなる。VC等の外部投資家がいる場合には尚更である。
そこまで上手くいったのだから、創業者CEOの立場からすれば納得がいきにくいことと思います。しかし、前回述べた通り、次の段階には異なるレベルのスキルが必要です。投資家側から見れば、初期の成功を収めることでベンチャーとしての成功の期待値が高くなる。その為、投資家はそのベンチャーを大きく育てるための確実な基盤を早くから作ろうとする、というのが主な理由のようです。あるVCの言として、以下を引用しています。なかなか生々しいですね。
The toughest time to change CEOs is when the CEO has been really successful at developing the company. But those fast growth companies outstrip the CEO’s skill the fastest, and that’s when we have to push the hardest for a change. … With a good “story”, it is best to add a professional CEO before the scale of operations might logically justigy it. You must stay ahead of the curve to drive momentum.
また、あるベンチャーの創業者CEOでそのまま継続した人の言として、徐々に成長はしたけれども急なものではなかったので、VCにとってはホームランでも負け犬でもなかったから注力するに値しなかったようで、逆にそのお陰で継続できたのだと思う、というのもありました。 要は、VCが背後にいる場合には、成功の期待値が高いほど会社をひとり立ちさせようというドライブが働くということですね。
②投資のラウンドごとに、創業者CEOからプロフェッショナルCEOへの交代が行われる可能性が高まる。
こうした人事は、VC側にとっても、やりにくいものです。それが追加投資をする際には、資金が必要な創業者vs.お金を持っている投資家という構図になるので、投資家の交渉レバレッジが高く、投資の条件としてCEOの変更を求めるなどの強硬手段が取りやすいということのようです。
③投資ラウンドの額が大きいほど、CEO交代の可能性は高い。
お金がものを言うわけですね。現実的に投資家の持株比率が上がるので余計に強いスタンスを取りやすくもなるのでしょう。
④新規の投資家が加わると、その継承の可能性は低くなる傾向にある。
新規の投資家の場合、既存の投資家に比べて創業者との繋がりが弱いため、創業者の能力等についてはシンジケートしている既存のVCの判断に頼る傾向があること。また取締役会にステークホルダーが増えるごとに、意見がまとまりずらくなること、が理由として挙げられています。
⑤ベンチャー内部者(創業者、従業員)の持株比率が高いほど(50%以上)、継承の可能性は低い。
まあ、納得でしょうね。いわば同盟的な他の創業者の存在の影響もあるかもしれないですね。「CEOを替えるなら私も(創業者CTO)もやめる」みたいな脅しも効くでしょうし。
⑥創業者CEO自身の以前の職務経験が幅広いほど、持株比率が高いほど、継承の可能性は低い。
経験があるため能力への信頼がより高いこと、そして創業者CEO自身が所有比率に裏打ちされてモノを申せる立場にいることが要因ですね。
如何でしょう。総合すると、創業者CEOが交代となる一番の要因は、VCからかなりの投資を受けているかどうかにかかっているようですね。一旦VC が取締役としてウェイトを持つと、創業者の経歴等による交代のタイミングの差こそあれ、いずれは交代させられる可能性はかなり高いと言わざるを得ません。この件については論文のディスカッションの部分でも触れていますが、VCの通例として「創業者CEOは役不足だから替えるべき」という先入観があり、必ずしも創業者個人の実際の能力が真に検討されているわけではないということもあります。人にもよるかとは思いますが、大抵はリスクを回避するために成るべく安全(なように見える)策を講じたいのでしょう。
創業者がCEOを長く続けて行きたい場合は、なるべく外部から資金調達をしない方が良いわけですが、資金不足による機会損失ということもありますので、成長スピードと規模、それから自社の運命に対してどれだけ自分(達)でコントロールできるか、ということを秤にかけることが必要となります。
このことは、そもそもどのような目的で起業したのか、どのような会社にしていきたいのか、ということをきちんとするということに繋がります。会社が自分(達)のものであることが重要なのか、それとも自分(達)が創造したものがどんな形であれ世に広まることが重要なのか、をまずはっきりさせておくべきです。前者の場合は緩い成長でも会社が大きくならなくても良いので外部から資金調達はしない、ということもできるでしょうし、ゆっくり成長することで CEOとしてのスキルを磨く余裕があるかもしれません。後者の場合は、CEO交代ということになっても、目的を果たすためならという納得感もあるでしょうし、その為に自分が会社にとってできることを建設的な方向で考えられるかもしれません。(Noam Wasserman氏、この件についてもリサーチしているようなので、後日また触れたいと思います)
交代させられたCEOは、多くの場合異なる形で会社に残ることが期待されます。会長職やプロダクト系のVP、外の顔としての役割等、様々です。論文にもありますが、後続のCEOにとっても前CEOが周りにいるのはやりづらいものなので、その配置は注意が必要ですが、創業者の求心力というものはとても大切なので、最善な形でこの体制変化を行いたいものです。気を悪くした創業者CEOとVCがガチンコになってしまって、CEOがベンチャー自体を去るという残念な事例も多々あります。
CEOは交代してもなるべく自分(達)のベンチャーの運命を握っていたいという場合は、VCの先手を打って自分達が気に入るCEOを引っ張ってくるとか、先を見越して創業者CEOがその後に上手くスイッチできるポストを予め考え、そのための根回しをしておくということも考えられますね。実際そのような自発的な行動をとる人はとても少数なようですが、目的によっては理にかなうことだと思います。
ちなみに、私のM&Aでの経験からすると、初期の段階で買収されたベンチャーの創業者CEOは、その後買収先の企業でそのプロダクトのビジネスディベロップメントの役割をすることが多いです。元のチームの日々のオペレーションは買収先からマネージャーが新たに配置されて、創業者CEOはその日常業務からは解放される一方、プロダクトのエバンジェリストに徹するという形のようです。それまでのCEOとしての仕事が面白かったけれども、ややコンフォートゾーンの外側だったので、当分の間はこの新たなポジションに満足という人もいれば、学ぶことは学んでまた起業したいとウズウズしている人もいます。
さてこの何回か、ちょっとヘビーなテーマを追ってみました。私は創業者が自分の会社に寄せる愛着という感情的な部分はとてもわかるので、このような問題に直面する可能性のある方々に何らかの情報を提供できればと思った次第です。何かしら役に立ったでしょうか?
最後に一つだけ強調したいことが。それはCEOは交代することができても、創業者は交代できないということ。意を決して起業された方々が、一番望む形で創業した会社との関係を保っていけると良いですね。
では皆さん良い週末を。