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今日は出席してから書こうと思っていたイベントが延期になってしまったので、ちと小ネタでも。
ブログがテクノロジーベンチャーのマーケティングに活用されるようになってから久しいですが、ブログ圏をそのターゲットにすることについての注意点に関する面白い投稿がCrosslink Capital というVCのパートナーであるPeter Ripという人のブログにありました。
それによると、起業家に市場開拓戦略を尋ねてみると近頃は皆口をそろえて、「まずはブロガーをターゲットにする。アーリーアダプターだから」という応えがかえってくるそうです。彼はその視点は2003年時点では洞察力のあるもので、2005年時点では最初のステップとしては適切だったけれども、来年 2007年には全く無意味なものになる、としています。
その理由は、今日では全世界で5700万ものブログが存在する、つまりブログ圏を一括りにして対象とするには大雑把すぎてばかばかしいということです。すごい数ですね。日本語のものはどのくらいなんでしょう。で、
5700万という規模からしてブログ圏を国に見立てると世界で24番目に大きい国である。次点は韓国である。そしてフランス、英国、イタリアの人口に比べて若干少ないくらいの規模である。ということは先ほどの起業家に対する質問を言い換えるとこうなる。
VC: So tell me, what’s your go to market strategy?
Entrepreneur: We are going to target [the entire population of South Korea – every man, woman, and child] because they are early adopters.
これはターゲットなんてものじゃない、むしろユニバースだ。こんな応答をしても真に受けられるのは金正日氏だけだ。
たしかに。 このおち、予測してなかったのでちとツボにはまりました。不愉快な思いをされる方がいらっしゃったら、ごめんなさい。
この記事では、ブログは流通の一つの形態でブロガーは21世紀のVAR(value-added reseller)としてみることができるとして、ではどのようにターゲットを絞るべきかということに触れています。その引用は割愛させて頂きますが、興味がある方はご一読あれ。
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さて早いもので12月。パーティーが多い時期となりました。根っから社交的な方々には良いですが、仕事関連のパーティーの場は苦手という方も結構いらっしゃるのではないでしょうか。ベンチャー企業をやっている立場の方はコンタクトを広げる機会だから頑張らなければと余計に重荷に感じている方もおられるかと思います。
そんな方々に朗報(?)です。CEOは外向的なイメージが強いが、実は内向的な人も多いという話がしばらく前のUSA Todayにありましたのでご紹介したいと思います。
要旨を意訳して纏めると…
リーダーとして成功する要素はたくさんあるが、中でも最も明らかに見えるのは、才能ある周囲から自らを際立たせる外向的で社交的な性格である。しかし、通説とは裏腹に、実に4割のエグゼクティブは内向的及び”隠れ”内向的な人である。内向的だとして知られている著名なCEO には、例えばビル・ゲイツ、ウォーレン・バフェット、チャールズ・シュワブ、スティーブン・スピルバーグ、ブレンダ・バーンズ(Sara LeeのCEO)等がいる。
内向的とは
定義によると内気とは異なり、社交的な場では疲弊してしまい、活力を取り戻すには一人の時間を必要とする人を意味する。外向的とはその逆で人といると活力に満ち溢れるが一人でいるのが苦手である。外向的な人は友人が多いが、内向的な人は少数の友人を深く知ることを好む。
どうして内向的な人と外向的な人がいるのかは明らかになっていない。文化的・遺伝的な背景、或いは性別、育ちが影響しているとも考えられる。割合は世代によっても異なるし、職種や業界によっても異なる。(ファイナンスやIT関連の人は内向的な場合が多いという説もある)
会社の成功とCEOの性格の関連性に関する調査
幾つかの科学的調査や著書ではCEOが外向的で華々しいことと会社の業績には関係が無いとしている。むしろ、でしゃばらず失敗を謙虚に受け止めること、或いは創造性があることが成功の最も共通した特徴だという調査もあり、これらの点は内向的な人の特徴として関連付けられることも多い。
一方、エグゼクティブに対する(非科学的な)アンケート調査によると、ごく少数の人が内向的な人がより良いCEOになると答えており、外交的な人がベターだと答えた人と外向・内向に違いが無いと答えた人の割合が半々である。そして大半の人が内向的であることは昇進には不利だと答えている。
内向的であることの有利・不利
内向的であることは組織によってはパッとしないと思われて上手く行かない事もある反面、落着いていて、感情的ではなく、賢いと認識される事もある。黙っているだけではだめだが、ここぞという時に主張すれば重みを出したりできる効果もある。また内向的な人は芯が強く行動する前に熟考する傾向があり、それが成功にも繋がる。
内向的なCEOが成功する秘訣
内向的な人は閉鎖的だとは限らない。社交的な場がとにかくダメだと言う訳ではなく、解決しなければならない問題がある場合は他の人と一緒にやるのは好きだと言う人もいれば、自分が質問をする立場で答える立場でなければカクテルパーティーも楽しめるという人もいる等、様々である。
共通しているのは、色々な場面で外向的に振舞う技術を習得したということのようである。自分では内向的だと思うが、他の人はそう言っても信じないだろう、というCEOも多い。
ボランティアに参加するなどして弱点を克服しようともしているが、単に社交的なパーティーなどの場では、できる限りハッタリをかますだけだと頑張る人もいれば、外向的になっている自分を幽体離脱のようにみて楽しんでいる人もいる。また、選べる事なら一人や家族で過ごしている方がよいが、自社の受付がその気分ではなくてもにこやかに応対することを期待されているのと同様に、カクテルパティーやインタビューを義務感からこなしているという人もいる。
如何でしょう。なんだか一見ポジティブなのですが、結局は、内向的な人は割り切って時には外向的に振舞う必要がある、ということなんでしょうか…。実際には違いが無いにしても、世の中の受け止め方やリーダー像みたいなのが外向的なものを好む傾向にあるため、その様に見せる必要があるということなのかな。
救いは、そういった場面で外向的に振舞うということは獲得できるスキルであって、本来の性質が経営に悪影響を及ぼすわけではなく、むしろ向いている点もあるということですかね。
アンケート結果にもある通り、大企業で出世するためには人数も多いし政治がかなり複雑なので、ある程度外向的である(あるいはそういう振る舞いを厭わないことの)必要性は結構ある気がします。ですが、ベンチャーを起業してCEOになった内向的な人の場合は、表舞台で思うように行かなかったりして日々落ち込むことがあるかもしれませんが、まずはその性格は成功には関係ないのだと思いましょう。で、割り切って他のどのスキルとも同様に捉えて、磨く努力をしつつ、自分の苦手分野が得意な人を周りにおいて補ってもらう、という現実的な対応をするのが良いかもしれません。
とは言うものの、存分に”内向的”な私はそもそも性格診断とか懐疑的で、内向的とか外向的とかそんなにスッパリ分かれたもんじゃないでしょう、とか思ってしまうんですが、これって只のひがみですかね。
カクテルパーティーの季節、振舞うスキル獲得のためせいぜい精進致しまする。
では。