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得意分野への邁進 vs. 弱点の克服

どうも。今日は個人そして会社レベルで得手・不得手をどう捉えるかという話をちょこっと。

近頃の自己啓発的なものでは、「弱点の克服よりも長所を延ばすことに尽力せよ」と言われる事がありますよね。多くの場面において正論だったりしますが、程度の問題もありますし、何しろ自分の得手不得手を明確に認識できるほど様々な経験を経ているかというとそうではない人の方が多いので、結構難しいですよね。

ましてや、ニッポンの制度(少なくとも私の世代までは)で育つと、何事もバランス良くこなせることが良しとされ、それが「デキる」ことの基準だったり、或いは人間関係をスムーズにする術であったりするために、自ら弱点に手を付けないというのはかなり抵抗のあることかもしれません。

個人的には、何でも自分で出来るように頑張らなければ、と力みすぎて且つ成果が出ずにストレスを溜め込むよりかは、他の補填アプローチがあるという事だけでも認識すべきだとは思いますが、自分の思う姿に近づくためにコツコツと弱点克服に励むのも良いのではないかと思っています。臨機応変にとでも言いますか、まあ自己正当化かもしれませんが。

では、会社という組織ではどうか。

一つ認識すべきなのは、個人の場合とは概ね異なり、単体の企業の価値或いはその一般認識は、往々にして、その企業の弱点をもとに判断されてしまうという現実です。

例えば、社員の9割がエンジニアの技術系ベンチャーが、次世代のデファクトになり得る技術を元に製品を開発したけれども、売上げは雀の涙しかないとします。この場合、世間一般の評価、或いは定石通りのバリュエーションによると、このベンチャー企業の価値はあまり高いものとはなりません。事の正否は別として、売上げ、つまり今現在弱い営業力の現れが評価の基準となってしまうわけです。

プライオリティがあるのは当然なのでまずは製品開発に注力するというのは勿論真っ当で、他がどんな評価をしていようが構わない訳ですが、いざ売上げを伸ばして利益を上げていかなければならない段階に突入するとそうも言っていられないので、その弱点をどうするかという決断は重大なものです。

市場の需要もあり競合もたくさん出てきているような状況では、エンジニアが苦手な営業にまわるとか、一人一人営業を雇っていくとか、地域ごとにディストリビューターと契約するとかでは手緩過ぎて営業に強い大企業に競り負けてしまうかもしれません。

そんな場合は、そうした補完的リソースとスキルを有した大企業とマーケティングのパートナーシップを組むとか、売却によってその傘下に入るとか、そうした自前ではない抜本的な弱点克服が必要になります。

もちろん市場の動向などにもよりますが、動きの早いビジネスの世界では、組織としての弱点をコツコツと自前で克服するという余裕は無いことの方が多いようです。とはいえその組織を構成している個々人のチャレンジや思惑が色々とあり、その辺りとバランスを取るのが難しいところですね。

皆さんはどうされていますか?

それでは今日はこの辺で。ではまた。

CEOの解任劇

どうも。

今日のニュースといえば、VMware、結構驚きました。CEOの退任と業績予測の下方修正ということで、株価が今日一日で24%強ダウンしたんですね。

VMwareは仮想化マーケットのリーダーで、かなり前にEMCが買収し、その後昨年になってその一部がリリースされIPOという運びとなり、注目されてきた企業です。今では大きくて「ベンチャー」という趣もあまり無いかもしれませんが、創業は1998年の、ある意味典型的なシリコンバレー急成長ベンチャーでした。

今回退任したCEOはDiane Greene。Co-Founderでもあり、創業時からずっと牽引してきた人です。色々な憶測が飛び交っているようですが、これはかなり急な解任で、その理由は業績が下向きであることも一部のようですが、どうやら政治的なものの方が大きいようです。EMCとの間で今後のビジョンに食い違いがあったとか。

ベンチャーの成長に沿って必要なスキルが異なるため、創業者CEOが後に「プロ」のCEOに取って替えられる事が良くある、ということに何度か触れたと思いますが、彼女の場合、ここまでずっと牽引してきて各方面からの信頼も厚かったので驚きです。これは他社の傘下という立場でなければ起きなかったことかもしれません。この急激な株価の下落は市場のショックを反映しているものと思います。

暫らく前に、数人の女性CEOによるリーダーシップ関連のイベントに行った事があるのですが、その時に彼女はパネリストの一人で、話をしてみると、通常のCEOというイメージからはかけ離れた人だな、という印象を強く受けました。以前にCEOの多くは実は内向的ということを書きましたが、その典型といった感じで、とても普通でシャイで、良い感じに地味でギーク、且つおっとりと天然な感じで、でも芯は強そうな実直な感じの人でした。リーダーシップのスタイルはオープンで誠実、一人一人をパートナーとして皆でがんばるということで、自らの人と也を有効に活かした形だなと思ったことを記憶しています。

特に結論のないエントリーなのですが、何と言うか、寂しいですね。一番寂しく感じているのは彼女自身でしょうけど。何だか、その時に話していた、創業当初に名前を色々広めようと思って、車のナンバープレートをVMwareにしたり、VMwareのロゴ入りのTシャツを着て歩きまわったとか、そういう微笑ましいことを思い出しました。

彼女のファンは結構多いので、近々どこかのベンチャーのCEOとして招聘されるということも大いにあり得ると思います。今後を期待しますか。

取り留めないですが、今日はこの辺で。