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フィットネスビジネスの発想

どうも。明日からThanksgivingのお休みで、毎年恒例のボストンに行ってきます。

アメリカではここから年末までホリデーモードになるわけですが、飲み食いの機会が多くなることもあって、運動の秋を心掛けたりする人も多いです。私も一ヶ月程前にWii及びFit一式を入手したこともあり、近頃エクササイズにちょっとはまりつつあります。そこで一見何の関係もなさそうなトピックですが、エクササイズビジネスからベンチャー企業に役立つかもしれないと感じたことに触れたいと思います。

さて、Wii自体の素晴らしさについては今更言うまでもないと思うのですが、エクササイズというそれが必要な人程こそ嫌いであるという性質のものに対して、ゲーム的な楽しさとモチベーションの要素を組み入れたフィットネスのアプリケーションは、非常に画期的だと思います。後で思えば「そりゃ、楽しいに越したことはないよね」という至極当然な発想なのですが、その実現は容易いものではなかったはずです。

辛くないと効果がないと思ったり、自分にはムリだと思ったりする多くの人々の「心理的ハードル」に対処し、且つ、分かっちゃいるけど時間と手間を割く習慣が中々できないという多くの人々の「物理的ハードル」に対処する必要があるわけで、発想の転換と地道な努力が裏にはあることと思います。こうしたハードルを低くするという視点は、ユーザーを獲得しよう或いは広げようと思う多くのベンチャー企業にとっても重要だと思いますし、時には自分の業界以外のケースを見てみると新鮮な発想が得られるかもしれません。

楽しいという流れで言うと、先日ジムで試したZumbaというエクササイズは予想以上に良かったです。ラテン系ダンスをベースとしてヒップホップの要素なんかも取り入れた何でもありのダンスエクササイズなのですが、全然トレーニングしている辛さを感じずにただ踊っているだけで結構良い運動になり、ストレス発散にも良いです。マイアミ的な軽いノリと強烈な腰振りに対する恥ずかしささえ乗り越えられればかなりイケそうです。日本語でサーチしたところによると「ビリーズブートキャンプ」の次に来るものらしいので、既にご存知の方は多いのかもしれませんが、私は全く知りませんでした。

考えてみれば、単発のエクササイズプログラムが一時期流行るというのは、結局はコンテンツの問題なのでこれまでも色々あったわけですが、エアロビとかヨガとかピラティスとか、エクササイズの新たなカテゴリーとしての地位を築きいわばプラットフォームとして定着するというのは相当時間もかかるし難しいですよね。このZumbaは今から10年以上前に創始者が偶然からはじめ、徐々にクラスを提供していき、2002年にインフォマーシャルをするようになってから、じわじわ広まってきたらしいのですが、ここ1、2年は急に勢いを増しているようです。現在世界40カ国に広まっているとか。

こうしたビジネスを全く知らないのですが、プラットフォームとして機能するためにはインフォマーシャルでDVDを売るだけでは恐らくだめで、train the trainerモデルでインストラクターをバンバンと養成しつつ、大手のジムチェーンにインストラクターを派遣したり、ライセンス契約をしたり、或いはフランチャイズ的な展開をするんだと想像します。多分他にも色々あるんでしょうけど、一人で考えた踊りのアイディアをそこまでパッケージ化して流通させて、多くの人をインスパイアして参加させるというのは、もの凄いことなのではないでしょうか。

しかもじわじわと広まってから爆発するまでには結構な時間がかかっているのですが、これはここにきてやっと環境が整ったということなんだと思います。アメリカの例では、かなりの期間をかけてサルサが全米に広まり、Dancing With the Stars等のテレビ番組が人気だったり、と消費者側のラテン音楽やダンスへの慣れという素地ができ、しかもヨガなどの外国物が辛いばかりがエクササイズではないという発想の転換にも寄与し、そしてどんどん存在感がでてきたラテン系住民を取り込みたいというジム側の希望もあいまってプログラムとして取り入れるという動きになってきたのだと思います。DVDの売上だけに甘んじることなく、よく続けてきたものだと感心します。

こういう事業にはどういうとこから資金がでるんでしょうね。全くの誤解の可能性もありますが、その途方のなさと運との組み合わせを考えると、シリコンバレーでテクノロジーベンチャーをやるほうが遥かに楽な感じもしてしまいます。エコシステムができてますからね。楽しくて且つ効果がでるという価値をベースとして、その上でビジネスを創り上げていくという点で、カラーはかなり異なるものの、ビジネスモデルなど学べる点もあるのではないでしょうか。

なんだか取り留めのない話ですが、お休みがちょっとある時には、普段やっていることから離れて見てみると新鮮な発想が生まれたり、そもそも身体を動かすことで波及効果があったりするのではないかと思って、つらつらと書いてみました。では今日はこの辺で。ちなみにかなりちゃちな動画ですが、Zumbaはこんな感じ↓です。

解雇しなければならない時には…

どうも。ベイエリア在住の方はご存知かと思いますが、先日、シリコンバレーにある半導体デザインのベンチャー、SiPortで殺人事件がありました。

解雇された社員がCEOなど経営幹部3名との話し合いを求め、その際所持していた拳銃で彼らを殺害したということらしいです。そこに至る状況の解明はこれからですが、どのような事由にせよ悲しく衝撃的な出来事であります。

解雇やレイオフというのは誰にとっても気持ちの良いものではないですし、そのような状況にならないに越したことはないですが、どうしてもという時に雇用側は非常に慎重になる必要があります。今回の事件がそうでなかったと示唆するものでは全くありませんが、以前に出席したセミナーで後日触れると言いつつ忘れていたもので、ベンチャーにおいて解雇をする際の注意点という話があったのを思い出したので纏めておこうと思います。

1.人事的な決定事はサプライズの無いようにすること

2.首になるということは自尊心がかなり傷つくし、対外的にも非常に辛い思いをするものだと認識すること
過去に自分が首になったり、悪い評価を得たりした時の状況を想起し、どのように対応して欲しかったかと考えたりするなど、相手の立場になることが重要。

3.解雇のプロセスは後に企業文化の一部となることを認識せよ
今自分がしようとしている解雇が企業の価値観に見合っており、その後の行動パターンとなっても大丈夫なものか、今一度検証すること。

4.解雇には生の感情がからみ品位に相応しくない状況にもなりえるので、そうした状況を避けるためにも、オープンで誠意のあるコミュニケーションをとること
例えば、理由がパフォーマンスであれば、誠実に話し合い、改善のチャンスを具体的に結果が計れる形で提示し様子を見て議論を重ねる等。

5.解雇される(た)社員の今後が好転するよう、できる限りサポートすること
例えば、退職した元社員についてネガティブなコメントは一切しない。 (アメリカであれば)リファレンスを可能な限り引き受ける。退職までの猶予期間をもうけて、その間仕事が探しやすいように勤務時間をフレックスにする。

6.解雇に該当する基準(例えば、何がしかの法律違反の場合は即刻解雇など)、及び退職手当等のポリシーを明確にすること

7.該当する法律をしっかり理解しておくこと
アメリカであれば「at-will employment」という根底の話がありますし、州ごとにも違いがあるはずですのでご注意を。

8.退職の際の同意事項は予め準備し、きちんと手続きすること
(知的所有権の帰属、社員の引き抜き禁止など)

私はどちらの側にも今のところ直接関わったことがないので物を言える立場ではないのですが、2の点は特にこれがレイオフとなると見過ごされていることが多いように思います。個人個人には痛みがあるはずなのに、誠意も公正も無く数の一つとして処理されてしまうことは数々見てきました。この経済状況下、益々多くの方が苦しまれていることでしょう。日本では逆の問題もあるとは思いますが。

労使関係の違いは日米でかなりありますので、こちらで起業する方は解雇だけでなく、様々な差別などに関する法律、仕組みをきちんと理解しておかないと大変なことになるので、気をつけて下さいね。

では、今日はこの辺で。 あ、「捨てる神あれば拾う神あり」とでも言いますか、求人情報が今日一つ入りましたのCommunityページに載せておきます。興味のある方はご連絡下さい。