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保身の空気と打破する気力

どうも。景気の悪化でレイオフが増えている昨今ですが (レイオフはどこかで始まると、今ならやり易い、と便乗が増える気がしますね)、今日ぺラッとめくったFortuneの記事に「仕事をキープするための5ヶ条」というものがありました。

しがみつく感じ自体が何だか嫌なスタンスなのですが、まあ現実そうとも言っていられないので見てみると…

1. Be visible (見えるようにする=自分の業績を周りの人や上司、そのまた上司が認識するようにすること)

これは不況に限らず、アメリカの企業で働くには根底とされるもの、且つ多くの日本人が不得手とするものですね。それがこういう時期になると、もうアピール合戦になるので、当地の企業、特に大企業で働く日本人の方は要注意かもしれません。

2. Don’t be a maverick (型破りなことをしないように)

このmaverickという言葉、今年の選挙で散々流行りましたね。自分で考えて行動にうつすような積極性は通常推奨されるものの、不況時には自分のグループのコアとされるものに注力することが管理職の使命となるので、許可なしでプロジェクトを始めたりすると「身勝手なやつ!」と思われてしまい良くないという事のようです。嫌な感じですねー。これこそが実は不況時に素晴らしいベンチャーが生まれることの原動力だったりして…。

3. Manage yourself (指示待ちせず自分ですべきことをする)

レイオフの恐怖は自分の上司にも及んでいるので、指揮系統が上手く機能しないことも多くなります。そうなると自分で自分の身を守るためにも積極的に進んで仕事を引き受け、上記の1に繋げるべきということですね。

4. Network (人脈づくりに励むこと)

暗いご時世には引きこもりがちになりますが、こういう時ほど会社の外で人脈を広げるべきとのこと。週に2回は外の人と会う機会を持つこと、と記事にはありますが、どうでしょう、普通の企業勤務の人には高いハードルのような気もしますが、アメリカのサラリーマンはそんなに頑張ってるんでしょうか? 意識的にやる人と必要になってから慌てる人とで分かれるのかもしれませんね。

5. Don’t blow off the Christmas party (会社のホリデーパーティーには出席せよ)

どこの会社もコスト削減でパーティーがキャンセルになったりする中、規模は縮小されたとしてもまだパーティーが開かれる場合には、上司がかなり頑張って取り付けた可能性があり、それを欠席すると癇に障るかも、ということらしいです。 アメリカでもこういうしがらみってあるんだなー、と今更思いました。

どうでしょう。2以外は普段でも気を配ると良いと思うのですが、辞めさせられない為にこれらを敢えてするとなると、もう社内の嫌な空気が見えそうな感じですが、現地点でサバイブするには一時的に必要なことなのかもしれません。皆がこのように保守的に行動すればするほど、景気の回復が遅くなるということもあるでしょうが、致し方ないというものでしょうか。まあ会社のカルチャーによっては普段からこういうところもありますよね。

これらのことは必ずしも大企業の中だけで起こることではなく、程度の差こそあれ、ベンチャーでも皆がそわそわすることはありますので、管理側にいる方は要らない不安を取り除くべくコミュニケーションを図ることが必要だと思います。

このように自分の行く末を左右されるのが嫌だから、今こそ自分で起業するとか、仕事をしながら夜間休日に自分のアイディアにコツコツ取り組む、というのも大有りだと思いますが、どうでしょう。

では今日はこの辺で。

買収提案の棄却 – twitterの場合

どうも。先週の休暇からまだ回復中です。

さて、先日、twitterがFacebookからの$500Mとも言われる高額の買収提案を断ったという話がありましたね。その後のNYタイムズのインタビューによると、その理由は「まだ収益化の可能性を追求できておらず、時期尚早」ということですが、当然ながら価格等の条件の面で折り合いがつかなかったというのもあるでしょう。

ファウンダーがかなりの自社株を保有している場合は幅広い裁量が可能ですが、通常VC等の外部資金が入っている場合は、ベンチャーがどのようなフェーズであろうとも、あらゆる買収提案は取締役会で真剣に議論されます。株主利益という観点から、基本的には提示されている条件と将来予測の現在価値を比較するわけです。

アーリーステージのベンチャーにとっては将来の収益予測というのは希望的推測にすぎないことが多いので、意見はかなり分かれますし、正しい価格というものが一義に決まるわけではありません。投資家がそれぞれの立場で、「これぐらいのリターンがないと」というボトムアップの計算をすることも多々あります。

それだけでも難儀なところ、相手も非上場企業で株式での買収を提示している場合は、変数が増えてかなり大変になります。

今回のFacebookのオファーはこの範疇のもので、Facebook自体のバリュエーションの見解でかなりの開きがあったようです。マイクロソフトが昨年$240M投資した際のバリュエーションと言われる$15Bをベースとすると、オファーである約3%の株式は$500Mとなるのですが、twitter側はFacebookのより「現実的」なバリュエーションは$5Bとして、それによると$150Mの買収提案となるわけです。

まだ収益のないベンチャー企業に対して$150Mとは多額だと思われる方もいらっしゃることでしょうが、前回のTwitterの資金調達時のバリュエーションが$80Mから$120Mの間だったということなので、それに比べると、株主にとってはそれ程魅力的なオファーではないということになったようです。

その後計画通りに物事が進むかは分からないので、その時点での情報をもとに決断するしかないわけですが、今回twitterのボードはtwitterは今後もっと価値が上がると踏んだということですね。どうなるかは見守るしかないですが、「あの時のオファーを受けていれば…」とだけはならないと良いですね。

では今日はこの辺で。