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40代はもう年寄り??

先日ロイターの特集でSilicon Valley’s dirty secret – age biasというのがありました。シリコンバレーで40代以上が「年寄り」扱いされ就職で差別を受けているっぽいという話です。

Startupでは、ザッカーバーグはじめ、若い起業家が持てはやされており、そのことが影響しているとのことですが… 能力主義を標榜するシリコンバレーにおいて残念ではありますが、実際結構バイアスはあると思います。

当地では年齢による差別は違法です。まずもって、募集要項で「○○才まで」と限定したり、レジュメ(履歴書)に年齢を書いたり、面接で年齢を聞いたりすることもだめです。が、差別を証明するのは極めて難しい。記事中に、とあるスタートアップでスクリーニングを経てCEOとの面接にたどり着いた、61歳のマーケティング戦略のベテランの例があります。面接で部屋に通され、CEOと対面した途端、CEOが急用が出来たといって去り、面接はリスケされず、後日もっと若い人がその職を得た、と。こういう露骨なものであっても、この人を雇わなかった理由は何とでもつけられるので、証明には至らないでしょうね。

かといって、経験やトラックレコードは重視されることが多いですし、実際の年齢も分からないので(学歴等から推定はできますが)、もちろん40代以上の人もたくさん雇われます。特にある程度のサイズのスタートアップの管理職ポジションなどは多いです。ただ、非常に若いファウンダーで初期の社員も皆若くて、となると、その後も若者ばかりが集まるところになる傾向はあります。

実年齢よりも多分大きく差が出るのは、見た目だろうと思います。色々な意味で「フィットするか」を見るので、まあこれはある程度致し方ないかと。みんなTシャツ、ジーンズだったら、やっぱりスーツは浮きますし。でも、記事によると、この点に関しても、もっとプレッシャーはきついみたいです。

“I don’t think I would have been able to get this CEO job if I hadn’t shaved my head,” says Adams, who has founded eight venture-backed companies. He is now chairman of the company that hired him, mobile conference-call service Socialdial, and is fundraising for a new business. Adams has supplemented his makeover by trading in his button-down shirts for T-shirts, making sure he owns the latest gadgets, and getting an eyelid lift.

たるんだ瞼を引き上げるプチ整形とは、アメリカ人男性にしては意外!と思ったら、そうでもないみたいで、シリコンバレーでは増加中の模様。

The cosmetic surgery route seems increasingly common among the men of Silicon Valley. Roy Hong, chairman of the Palo Alto Medical Foundation’s plastic surgery department, says men represented 14 percent of his customers last year, up from 9 percent a decade ago.

あとは記事中にもありますが、ガジェット系持ち物とか、感覚ですよね。それが他の社員や対象カスタマーと相当ズレがあると難しいというのは、ある意味論理的ではあります。何にせよ見た目だけで判断、というのはもったいないですけど。

というわけで、ある程度仕方ないと思っているのですが、一つ懸念しているのは、若いファウンダーで企業での経験やかなり年上の人と何かを一緒にした経験がなく、これまであまり外部要因による停滞などを経験したことがない場合、年上の人達について誤った認識をしている場合があるのでは、だとしたら残念でもったいないな、ということです。

ともすると、40超えた人はエンジェルとか投資家サイドにまわっているはずで、そうなっていない人は負け組みに違いない、と思っていたり、子供や家族の事情でキャリアに一部穴があったり停滞があったりすることを理解できなかったり、など。世の中色々あるよね、ということをまだ知らないわけで。ま、そういう場合は双方のためにも、老若で敢えてタグを組まないほうがよいと思いますが。

いろいろ大変ですね。私もそろそろ他人事じゃないですがw

 

Amazonのマネージメント考

どうも。暫くあいてしまいましたが気を取り直して…  さてさて、ここアメリカではサンクスギビング(感謝祭)明けの今週からクリスマス商戦が始まるわけですが、色々見ていて上手いなーと思うのは、Amazon。

もう起業から17年経つのに、常に挑戦していて新しみがあって、すごく戦略的だと思います。いやー、Jeff Bezosは偉大です。

最近のFortuneで彼の特集があったのですが、普段あまり語られないマネージメントの話しがあり、非常に興味深かったです。

例えば、幹部ミーティングではパワーポイントは禁止で、Narrativeと呼ばれる6ページくらいの書面に落とす必要があるのだそうです。会議の冒頭で、まず各々がその資料をメモをとりながら黙々と熟読し、その上で議論するとのこと。文章にすることの理由は、そのほうが難しいから。きちんと考えつくさないと、そのぐらいの量の文章をしっかり書くことは不可能だからなのだそうです。確かに、箇条書きやチャートで、後は口頭説明に頼るスライド形式だと、詰めも甘く様々な解釈の余地がありますよね。なお、わざわざミーティングで黙読するのは、グループとして行うことで熟読を強いられるからだそうです。

もう一つ意外だったのは、Amazonにはいわゆる(インセンティブ)成果報酬は無いそうです。給与レベルも他社に比べて著しく低いとのこと。但しチームを報いないわけでは全くなく、その分は株で補われます。努力して会社の業績が上がればその見返りがある、という分かりやすい形で皆を一方向に向わせるんですね。給与のレベルが低く、最近のスタートアップで見られるような3食付などの福利厚生もないので、Amazonで働くモチベーションは、そこで面白いことが出来るから、に尽きるようです。

この規模になって「面白いことができる」という魅力で人材をとれるのはすごいことだと思いますが、このような体系が可能なのは、Amazonがシアトルにあるという物理的な要因もあるのではないかと思います。転職・取り合いの多いシリコンバレーではなかなか難しかもしれません。

前にも触れましたが、Amazonはお客様に如何に安く提供するかを考えている会社なので、その実現にはもちろんコスト面は倹約である必要があります。が、このような仕組みや考え方を一貫して行うには、トップがカルチャーとして牽引して実行する以外には多分無理なのだろうと思います。もちろん会社の成長ステージによって再考することはたくさん出てきますが、コアのカルチャーはかなり初期から意識してつくる必要があるので、スタートアップでも注意が必要です。

というわけで、今ではスタートアップの面影が薄いAmazonですが、起業家・経営者として参考になることもたくさんあると思いますので、興味のある方はぜひ色々探ってみてください。