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$1 Millionをシリコンバレーで調達するには

まず自己資金や知人・家族からの支援で立ち上げたとして、じゃあ次の段階として$1M(約1億円)をエンジェルやVCから調達しようという場合、どの程度のレベルまで到達していれば資金調達が可能なんでしょう。

シリコンバレーにおける「相場観」みたいなものが、先日Tech Crunchに掲載されていました(Angel ListのAsh Fontanaによるもの)。それによると、チームやプロダクト自体よりも、何よりも、Traction(ユーザー数などで計れる、どれだけ市場で受け入れられているか、という指標)が大事とし、以下の例が挙げられています。

– Enterprise: 1,00 seats @$10/seat/month
(法人向けの製品の場合、例えば1ユーザーあたり月額$10の製品だとして、1000ユーザー)

– Big Enterprise: 2 pilot contracts, some $
(大企業向けの製品の場合、2社とのパイロットプロジェクト+いくらかの収入)

– Social: 100K+ downloads/signups
(ソーシャル系のサービスの場合、10万ダウンロード/サインアップ)

– Marketplace: $50K revenue/month
(マーケットプレース的なサービスの場合、売上げ月5万ドル(約500万円))

– E-commerce: $50K revenue /month
(Eコマースの場合、売上げ月5万ドル(約500万円))

もちろん、これはあくまでもざっくりな感覚値なので、これらより少なくても調達できる場合もあれば、多くても他の要因で調達できないこともあります。起業や製品・サービス開発にあまりお金がかからない今、 Tractionは確かに非常に大切で、そのハードルはどんどん高くなっているように思います。市場の大きさも違うので、日本国内では大分違う数値になるかと思いますが、どうでしょう。

一つ裏技というか、Traction以外に重要なものがあるとすると、いわゆるSocial Proofです。その界隈で有名で影響力のある人のお墨付きかどうか、ということですね。リスク回避もあって投資家は群れる傾向があるので、例えば、マーク・アンドリーセンがSeedでお金入れている、という状況であれば、資金調達は出来てしまいます。じゃあそういう人たちに、どうやって投資するなり、ボードやチームに入ってもらうなりするの?というと、それはそれで鶏と卵の難しい問題ではありますが。

普通のスタートアップはまずはとにかくTractionの獲得に励みましょう。

以上参考値でした。

 

 

スタートアップの成功はTシャツから

おしゃれな日本の皆さんにとってはちょっと不思議かもしれませんが、当地スタートアップでは、基本のスタイルはTシャツです。(特にエンジニアの方々)

何の変哲もないものや卒業した大学のものから、小ジャレたメッセージ性の高いものまで様々ですが、スーツやビジネスカジュアルに反して、Tシャツで仕事に行けるというのは、まあ自由なスタートアップカルチャーの一部なわけです。

で、そのTシャツですが、「自社Tシャツを作ることが実はすごく重要」という話を最近読んだので紹介します。LinkedInなどを経てきたAdam Nashはブログで5つの理由を述べてます。以下要点を抜粋して、コメントを付します。

1.Empowerment (エンパワーメント)

Giving out t-shirts tells your employees, implicitly, that you get it.  You hire only the best, and the best can wear whatever they want.  It says you know that you value merit over appearance; a working prototype over an MBA.

会社が社員の優秀さを評価しており「見た目より実」な価値観を共有している、ということを暗に示すことができる。

2. Incentives (インセンティブ)

Let me just tell you, free t-shirts evoke some sort of primal response at a high tech company.  …..

You’d be shocked at what a $200 per person per year budget for t-shirts will do for employee morale comparatively.

同様の額のものを現金や他の物であげると返ってマイナスなこともあるが、Tシャツはとにかく喜ばれる。一人につき年間$200のTシャツ予算が従業員のモラルに与える影響は計り知れない。

3. Tribal Cohesion(同族の結束)

It may sound subversive, but t-shirts can provide many of the same benefits of camaraderie and tribal cohesion that uniforms did, without the top-down oppression.

制服には自由には相容れないが仲間意識を与える利点があるのは確か。Tシャツは(色やデザインなどバリエーションがあるので)押し付けの制服にはならず、その良い点を享受できる。

4. Tenure Based Seniority (在職期間による序列)

High tech companies are largely meritocratic, and as they grow they tend to define roles based on skills & experience rather than “time at the company”.  However, there are positive aspects to rewarding those who have “bled for the company” over the years, and put their hearts and souls into building the business.  T-Shirts, in an innocuous way, implicitly do this by almost always becoming “limited editions”.

基本的に実力主義でポジションは年数に関係ないが、時に厳しい立ち上げの時期から支えてきた古株に敬意を示すのは良いことだ。それはTシャツを機会ごとに「限定」でつくることで、暗に達成できる。例えば今では数百人の規模に成長したが、数年前のVersion 1.oローンチを記念したTシャツはそれを牽引した10人しか持っていない。それは新入りには羨望に値するもので、古株はプライドを感じる。

5. Branding (ブランディング)

While being careful not to interfere with the uniqueness of shirts given to employees, make shirts for your developers, your fans, your early adopters.  Long before they become vocal advocates for your brand, they will gladly showcase it if you let them.

自社や自社製品が好きな人たちは、何の制限もかけなければ、頼まないでも自社を勝手に宣伝してくれるありがたい存在だ。Tシャツをあげれば、喜んで各所で着て宣伝してくれる。上記4の理由から社員用のものとは別のものにする必要があるが、外向けのTシャツもガンガン作るべし。

どうでしょう。Tシャツをつくるコストは低いですが、その恩恵はかなりのもの。皆が着たくなるようなデザイン、色彩にすることで、その効果は更にアップします。会社のロゴが入った1パターンのものではなくて、限定品でたくさんつくる、というのは確かに良いですね。

スタートアップには良いチーム・組織作りが欠かせません。デザインや質にはちょっと手間もお金もかけて、欲しいと思われるものを様々な機会限定やチーム限定で作ってみるのは、すぐに実行できるなかなか良いアイディアなのではないでしょうか。ぜひお試しあれ。

では今日はこの辺で。