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iPhoneとカリスマ創業者

どうも。ついつい一週間も空いてしまいました。年明けは何かとバタバタしております。皆さんは良い新年のスタートをされましたか?

さて、先週はiPhoneの話題でもちきりでしたね。私の会社はMacworldやその他のカンファレンスの会場であるモスコーニセンターのすぐ近くにあるのですが、その都度ランチ時等に周辺を歩いている人の雰囲気が違うのを見るのも結構面白かったりします。例えばSEMICON(半導体業界の大規模カンファレンス)ではここは日本かと思うくらいスーツ姿の日本人を大量に見るのですが、このMacworldはその他のビジネスイベントとは一線を画していて、とにかくコンシューマーが多い。しかもとってもGeeky。まあ、いわばマック教の集会ですからねー。

数年前に初めてMacworldを見に行ったときには、会場の北側と南側のビルをつなぐ長い廊下の両側に隙間が無いほどの若者が足を伸ばして座り込んでいて、皆が皆マックのノートブックコンピューターを膝に乗せ何かを打ち込んでいるという不思議な状況を目の当たりにしました。その異様な光景を言葉では伝えにくいのですが、とにかく、熱かったです。たくさんの大人達が取引成約に奔走している他のイベントとは全然違う意味で。

で、iPhone。どうですか。ずっと憶測はされていましたが、Ciscoと商標をもめている状態で発表するとは驚きました。スペック的には疑問も幾つかありますが、アップルのコンシューマーエレクトロニクス会社としての新たな戦略を推し進める力強い製品のように見受けられます。iPhone自体の評価については多くの方が既に書かれていると思うのでこれ以上立ち入りませんが、スティーブ・ジョブズのiPhone発表プレゼンビデオを見てふと思ったことを1つ。

それは、スティーブ・ジョブズ後のアップルはどうなってしまうんだろう、ということ。破天荒な人柄のようですが、このビデオからだけでも伝わるそのカリスマといったらやはり凄いです。プレゼンの上手さやプロダクトに対する情熱だけではなく、彼自身の歓喜が伝わるような、人を夢見がちにさせるような何かがあります。観衆の喝采はプロダクトの発表というより、彼のコンサートに近いくらいのノリです。一般的に、カリスマ創業者&CEOの後継というのはとても難しいものですが、これほど企業のアイデンティティと重複していて教祖レベルだと、これはかなり難航するのでしょうね。アイデンティティを属人状態から切り離して企業に帰すること、社内政治の複雑化とそれによる混迷、社員や顧客の求心力の維持…と難題は数知れません。

スティーブ・ジョブズしかり、ビル・ゲイツやラリー・エリソンを見ると、大成功を収めたテクノロジーベンチャーではエンジニアであった創業者がカリスマCEOとして牽引するものだ、と思ってしまいがちですが、こうした例はむしろ稀です。稀だからこそ注目を浴びていると言っても良いのかもしれません。

もちろん、以前にも書きましたが、CEO を務めるのにカリスマが無ければならない訳ではありません。ただ、事業が成長し規模が大きくなっていく過程で、企業としての成功を真摯に考慮すると、創業者がCEOとしての役割に最適だとは限らないことが多々あるのです。実際、ベンチャーの成長段階で、プロフェッショナルCEOを外から招き入れて、創業者がプロダクトやテクノロジー戦略のポジションについたり、或いは一線を退いて会長職や役員になることが多いのが通常です。特にVCから投資を受けている場合にはこの決断のタイミングが自らの認識や希望とは別のところでなされる事もあります。

創業者やエンジニアとしての強みやスキルと、CEOのそれとは大きな違いがあるため、こうした変化は極めて現実的な判断に寄るものなのですが、がんばってきた創業者兼CEOにとっては、自分で創り上げ愛着を持っている企業と自分との関わり方を変えなければならない、ということは非常に難しいものでもあります。

そこで次回は、そんな時に傷つかない為にも、創業者がCEOになるということ、そして必要ならばCEOから潔く退くということについて、もう少し掘り下げて見たいと思います。

それにしても、本当にスティーブ・ジョブズはプレゼンが上手い。まるで深夜のインフォマーシャルを見ているような説得具合です。ぜひご参照あれ。

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