ネットサービスと課金のジレンマ考
どうも。今日はカフェスタがユーザーにお金を出してもらうことをお願いしたという話を興味深く読みました。
広告に頼る「タダ」のビジネスモデルが「バブルの産物」とは思いませんが、全てのネットサービスがそれだけでやっていくのは確かに現実的ではなく、タダを前提とする空気がお互いの首を絞めてしまっている感じはあります。初めから有料だとユーザーの拡大には影響がでるし、後のプレミアムサービスへの移行も容易ではなく、一筋縄ではいかないわけですが、何らかの形で価値のあるものには対価を要求する、という何となく心地良くないビジネスの一線越えをすることをもっと考えていかねばならない時が来たのかも知れません。
無料でユーザー数を伸ばし、ユーザーに「愛されて」いるようなサービスでは、洋の東西を問わず、ユーザーから心配の声が上がったり、ビジネスモデルの提案があったり、寄付があったり、有料会員化への呼びかけがあったりと、ユーザー側で自分達のコミュニティーを守る傾向があるようで、これは非常に面白い現象だと思います。ユーザーにとってそこまでなくてはならないものになっているということは素晴らしいことで胸を張るべき成功なのですが、にも関わらずそれを直接売上げに繋げる布石を打たずにこの信用収縮を迎えてしまった多くのベンチャーが、急遽敢なく悪条件で他の(私)企業に吸収合併されることを決断したり、或いは資金が尽きて解散に至るという勿体無いケースが最近顕著になってきています。
そこまでユーザーを掴んでいれば、収益という形では出ていなくても何らかの価値はあるはずで、ある程度の期間資金がもつのであれば、単体でそれを収益に結びつける策をすばやく打つか、或いはそれと平行して、そのユーザーベースをレバレッジできる余裕のある上場企業に買収される道を広く探ることができるのですが、最適とは言えない決断を急いでしてしまう企業を見るにつけいたたまれない気持ちになります。
さて、そのサービスへの対価を得るということ、どういう形があるでしょうか。
現状FreeとPremiumのコンビである「フリーミアム」が多いとは思いますが、ソフトウェアによくあるように無料なものはお試し期間限定にして基本を有料にするというのもサービスの種類によっては可能でしょうね。多く人に有用なSNS等のサービスを交通機関のような社会インフラとして捉えると、一律210円みたいな小額を全員に負担してもらうという議論もアリかも知れませんね。定期券みたいに長い期間プリペイドで契約するとお得とか。
プレミアムにしても、物販に限らず出稿、出店、組織化などのサービス内のサービスを個人に有料で提供するというのもあるかも。また、コミュニティの特性を活かして、例えばサービスに積極的に物申したい人には発言権的なものの購入という形で金銭的に貢献してもらったり、場合によっては株主になってもらうというのもアリかもしれません。
まあ他にもたくさんあるとは思いますが、支払いを要求するときに恐らく重要なのは、どのように納得感があるようにするかということなのでしょうね。無料のものと有料のものがあるのならば、それが有料である分かりやすい理由が必要でしょうし、値段や請求方法でも感じ方はかなり異なりますよね。不思議なもので毎月300円と言われると、「一年で4000円近くになる」と思ってしまうけれども、「一月コーヒー一杯分くらいの価値はあると思いません?」と言われると、そりゃそうだと思ったり。個別に請求されると嫌な感じでも、携帯やISPの元々のサービス代の請求書に項目として上がっていれば殆ど気にしなかったり。
何をやってもどう言っても、有料になると離れるユーザーというのは必ずいるとは思うのですが、一方で自分の気に入っているサービスが存続するためにも享受している価値の対価を払うのは当然だと思う人も多いはずです。当然ながら、有料化の流れになると、差別化はますます重要になります。タダ或いは安いから使う、というのでは同様サービスの首切り競争に陥るだけで、結局はスキだから使うというものでないとダメなわけです。
まずは自社の提供するサービスに対するユーザーの価値認識への理解を深め、サービスと様々な課金方の兼ね合いを充分に検討して、小さいことからでも実行してみるのが良いのではないでしょうか。無料から有料に変えるような場合はユーザーに対してサプライズにならないように、誠実なコミュニケーションをはかるよう、くれぐれもお気をつけ下さい。
では今日はこの辺で。
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