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ベンチャーがWiiから学べること

任天堂Wii、こちらでは2週間前に売り出しましたが日本では今日発売でしたっけ?既に手に入れられた方はいらっしゃいますか?

コードネームRevolutionとしてこの開発プロジェクトがアナウンスされて以来、非常に気になっておりました。というのも結構前に両手のコントローラーを空中で自然な形で動かすことで画像等を作成操作することができる3Dインターフェースを開発している非常に面白いベンチャーに出会って、こういうパラダイムシフトがいつかやってくるのではとワクワクしたことがあったからです。

この種の技術、人とコンピューターの関わり方を変え得る非常に大きなものだと思うのです。3D度が増したアプリケーションがさらに増えている昨今、 2次元のマウスとキー、或いはジョイスティックなどでは充分ではなくなり、もっと自然な形で立体的にコンピューターと対峙する方法がゲームという枠を超えて、デザイン分野を皮切りに更には一般的に使われるようになってくるような気がしています。

さてこの画期的な任天堂Wiiについて、「任天堂からスタートアップ(ベンチャー企業)が学べること」と題した興味深いポストがBeyondVCというブログにありました。

任天堂はゲーム業界全体ではソニーとマイクロソフトに続く三番手なわけですが、ここ暫らく続いてきた如何に画像が鮮明でパワフルで処理速度が速いかという技術的な優劣を競う戦いでこの2社と対決するのではなく、敢えて全く新しい視点のゲームを創り出すことでその競争の軸を変えてしまった。ソニーは PS3を一台売るごとに赤字を出していると言われていますが、従来の競争はゲーム市場だけを見ればいわば自滅的な競争で、マーケットシェアが高いほど収益が良いわけではありません。ソニーとマイクロソフトがより大きなホームエンターテイメント戦略の一環として赤字を出しながらもゲームに注力して競争しているのに対し、任天堂はピュアなゲーム会社として自社の強み・弱みを認識した上で、その競争で疲弊しつつ首位になる道ではなく、違う土俵を作るという道をとったというわけです。

この戦略はベンチャー企業にも応用できるとして次のように述べています。

…what Nintendo did was slice and dice the multi-billion dollar gaming market so that it could be first place in a submarket (which is quite huge) that Nintendo has defined, that plays to its strengths, and that it can win. This is a big deal and quite smart. Even though Nintendo is a large company fighting even larger ones, this is a strategy that any startup can use – change the stakes and be the best in your new category. This does not mean to slice ad infinitum until you get a market so small that it is irrelevant, but the point is that going into “hand-to-hand” combat with those with much greater resources can be quite hazardous to your health.

ポイントはより多くのリソースを持つ大企業と直接対決するのは不利で非常に危険であるため、自社の強みを活かせる異なる切り口で新たな(サブ)マーケットを切り取り、そこで一番になるべきだということです。

この違うフレームで市場を切ってみるということは、先日の投稿(”競合がいない”はずはない)でも触れたことに通じていますが、非常に重要だと思います。競争自体にではなくユーザーの抱えている問題に目を向けて、独自の視点でスコープを定義しソリューションを提供する。その差別化が大事です。同じフレームで多少の違いを武器に戦うのは得策ではありません。リソースが多いということはユーザーを自社に有利なように説得するマーケティングに多大な費用をかけられることでもあり、価格競争に持ち込む余裕があることでもあり、また、短期間に追随開発ができることでもあります。これでは簡単に潰されてしまいます。

規模は大きくなくても自ら市場を定義し新たな競争ルールを作ってしまう。非常に難しいことではあるのですが、これができれば大企業はリソースが多くてもそう簡単には追随できません。まさにテクノロジーベンチャーが目指すべきところだと思います。

Wiiをお持ちのどなたかのお家にお邪魔して一回遊ばせてもらおうという魂胆でおります。既に体験された方、ぜひ感想をお聞かせください。
最近寒いですが皆様風邪にはご注意を。ではまた来週。

2 comments to “ベンチャーがWiiから学べること”

  1. Wii体験しました。購入はまだできていないのですが。
    聞くと任天堂でも1人につき1台しか割り当ててもらっていないそうです。
    私も知り合いを通じて社員枠を狙ったんですが、難しいですねー。(笑

    差別化については、既に登山された山で違う場所を探すのではなく、新たな山に旗を立てるという感覚ですね。
    自分の山を登りながら隣の山が競合かもと考える姿勢が大事であります。
    (山がぽつんと1個だけ、というのは普通ありえなく、連なっているのが普通ですしね。)

    ではまたのエントリーを楽しみにしています。

  2. おー、Wii体験、うらやましい!

    連なっている山に見立てるというのは良いですね。デバイスに限らず色々なメディアがIPの周りに収斂したり等、昔は想定していなかった方向へ連なりが複雑に向かっていたり、ちょっと高みに登ったら更に連なりが増えていたりと色々ありそうですよね。

    今後とも宜しくお願いします。

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