ネットベンチャーはサンフランシスコを目指す?!
どうも。ちょっと間があいてしまいましたが、今日は非アメリカ発ベンチャーがグローバル市場を狙うにはという話です。
先日イスラエル発のネットベンチャーNuconomyのインタビューを見たのですが、その中にイスラエルの起業家はサンフランシスコ及びシリコンバレーに短期間でも来るべきかどうかという話がありました。
NuconomyのCEOは、本国にもVCやネットワーキングの機会などのインフラが育っては来ているものの、本国でのインターネットベンチャーを育てる経験値が低いことや、パートナー企業やジャーナリスト、投資家その他の人々への露出度を高める必要があることから、少なくともCEOやマーケティングの担当は、初期のR&Dを本国で済ませたら早速荷造りしてサンフランシスコに移るべきと言っています。
海部さんが「パラダイス鎖国」に詳述されている通り、本国の市場が小さい場合は、普段使用するものも海外発の製品・サービスであることが多く、企業としても常に国際的な活動を意識しているので、このように営業拠点をアメリカやヨーロッパの大都市に移す、或いは併設するという考えは珍しくはありません。
拠点を移す必要があるかというと必ずしもそうだとは言えないと思いますが、資金や露出などの実質的な点に加え、競合他社や顧客層に対するアンテナも張りやすいですし、何と言うか場の空気みたいなものの利点もあることは否めないような気はします。
それでは、自国にこもらずグローバル市場を目指すと想定した場合に、どの段階で外に打って出るのが良いのでしょうか。
日本などの自国市場が大きい場合は、自国でかなりの成功を収めてから海外展開という形でマーケットを広げることが多いですよね。
一方、小国の場合よくあるパターンとしては、自国或いは隣国でユーザーから何がしかのバリデーションを受けてから、アメリカにBiz Dev拠点をもうけるか頻繁に行ったり来たりするというもの、或いはそれと平行してアメリカ企業への売却を検討するというものです。
例えばスウェーデンの通信ソフトウェアベンチャーだと、まずはエリクソンとパートナーになって、テリアソネラをお客さんとし、その後、エリクソンの既存顧客である他の西欧、東欧、ロシア、中南米、中近東、アジアなどの通信事業者に営業し、それと平行して、アメリカへの進出基盤としてBizDev部隊をアメリカで作ることを検討したり、売却を検討したりという流れなわけです。
こうした法人向けの製品やサービスについては依然としてこれが主流だと思うのですが、最近感じるのは、コンシューマー向けのネットサービスの場合は、外へ打って出るタイミングがそれよりも更に早いかもということです。
先程のイスラエルの例のように、本国でグローバル市場向けの英語でのサービスを開発しベータ版をリリースした時点で、既にCEOや他の数人はサンフランシスコ近辺にほぼ常駐している、というベンチャーには近頃よく遭遇しますし、そもそも当地をHQとして設立して開発部隊は本国だったり、ロシアなどのメジャーなオフショア地においているというのも結構見かけます。
ネットだからどこを物理的な拠点としていようが関係ないはずで、資金需要も低いため膨大な投資家へのアクセスは不必要と思いきや、ネットベンチャーほど早期にこちらに移ってくる傾向が見られるわけです。これはどうしてなんでしょうか。
一つには、ネットゆえの瞬時のグローバル性から、大きな市場で先に注目を集めたもの勝ちという点があるのかもしれないですね。自国である程度やってから海外という展開だと、事実はどうであれ二番煎じだと思われてしまうこともありますし。
二つには、ネット企業のカルチャー的にも分散型のチームが機能しやすく、事業開発はマーケットに近いところでというように、総人数は少なくても適材適所の体制を築く事が可能だという点があるのかもしれません。
まぁ中国はどうかとか、その辺を考え出すとかなり複雑なので深入りはしませんが、これは中々面白い現象だなと思ったので記してみました。日本でネットサービスを作っていて海外市場も狙いたいと考えている方々には、ちょっとこの点を考えてみられることをお勧めします。
ちなみにネットものに関しては、シリコンバレーよりもサンフランシスコ市内の方が盛り上がっているように思いますので、ご見学の際はご注意を。
ちと長くなりましたが、今日はこの辺で。ではまた。
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