起業中毒或いはワクワクの追求
どうも。今日は何度も起業するシリアルアントレプレナーの話です。
多くの人は基本的にあくせく働くことが好きではなく、一生楽に暮らせるお金があれば早期にリタイアして悠々自適にしたいと思ったりするので、一度起業して何らかのexitをして大金を手に入れても何度も繰り返し起業する、という精進の道を歩むシリアルアントレプレナーは不可解な人々と思われることが多々あります。
一度経験すると次からは楽になるというのは良くあることですが、起業についてもそれは当然当てはまり、特に様々な手続きに関する知識、互いに信用出来るチーム、顧客や取引先の人脈、良い関係を築いた投資家等が既にいることは、2回目3回目の起業をはるかに容易にします。その点から言えば、何かを創り上げて売って、また新たなアイディアで起業するというのはある意味理に適っているのですが、多くの人にとっては一回の起業さえもハードルがかなり高いために、「なんでまたそんな大変なことを」と思う人が多いわけです。ゆえに、そういう行動を繰り返すシリアルアントレプレナーはある意味違う人種なのではないかという憶測もあって、いわば人類学的な研究もなされているようです。
この件について先月のWashington PostにThe Secrets of Serial Successという記事がありました。これによると、シリアルアントレプレナー全般に当てはまる共通の資質があるわけではなく、色々な条件や状況が折り重なっていて動機や経緯も人それぞれのようですが、強いて言えば、シリアルアントレプレナーと呼ばれる人は、リスク、イノベーション、達成に対する欲求が高い傾向にあるということのようです。そして失敗に対する恐れが少なく、失敗しても立ち直る力が強いという傾向があるとも。まあ、よく言われることなので驚きはないですよね。
それよりも、一番根本にあるのではないかと思うのは、次の言葉。
“I really believe that some people are kind of entrepreneurial adrenaline freaks,” says Wayne Stewart, a management professor at Clemson University in Clemson, S.C. “They really get their kicks by starting businesses.”
つまり、起業をすることそのものとか、ビジネスを立ち上げることとか、何らかのイノベーションをする等ということでハイになる人々だということです。
何かに情熱を抱き、辛いことはありながらも充実した密な時間を過ごすと、それが終わったときにかなりの喪失感を感じることってありますよね。起業についても同様で、手にした大金でリタイアして飛行機の操縦を学んだりなどのエキゾチックな趣味をしてみるものの、退屈してしまって欝気味になっている人の話は思いの他多いものです。
その喪失感にどのように対処するかは人それぞれな訳ですが、仕事をすること、しかも起業家として何かを創り出す事によって活き活きとするということはもちろんありで、そういう新たなワクワクを追い求め続けるのがシリアルアントレプレナーなのではないかと思います。1度成功しても所詮ビギナーズラックだったと言われかねないので、実力を証明するためにもう一度起業するとか、次から次へとアイディアが湧き出て形にしないと気がすまないという人ももちろんいるとは思うのですが、それよりも何よりも、最初に経験したワクワクをもう一度得たくて、起業する人が多いのではないかと思うのです。
このワクワクし続けるということ、かなり難しいですよね。学生の頃、私はとりつかれたように旅ばかりしていたのですが、休学して1年近く旅を続けると、そろそろ一所に落ち着きたい=家に帰りたいと思うようになり、その一方でそんな退屈に見える日々にどのように戻ることができるのかと考えることがありました。その時、様々な社会経験を積んだ友人に”There is no party that never ends.”と諭されたことを今でも記憶しています。終わらないパーティーはないのだから、その余韻にしがみつかずに次の楽しみを探さなければいけないよ、という意味ですが、これは本当だなと思うことが往々にしてあります。なかなか実践は出来ていないのですが。(これは諺かもしれません。こういう諸行無常な発想はおそらく中国かな?)
幸せの形にはもちろん色々あるのですが、退屈とか停滞を幸せの対極と捉えて、常に新しいワクワクを追い求めるというのもありかと思ったりします。こういうことに貪欲だとパワーもいるし、家族などの周りの人は振り回されて大変かもしれませんけどね。まあ、極端な行動でなくても日々の小さなことにワクワクできる何かを見出すというのも良いかと思いますが。
そんなわけで、ちと取り留めないですが。ワクワクの追求としてプロデューサー的な生き方も良いかと。
今日はこの辺で。
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