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IPOとM&Aは二者択一問題か?

この10日程は久しぶりにテクノロジー企業のIPOが相次いでいますね。
例えばDivX、CommVault Systems、Riverbed Technology、それからShutterfly。どれも出だしは順調なようで、IPO市場復活か!とも囁かれています。例えば先日のVentureBeatの投稿(Why it still makes sense to go Public)ではこの点にふれ、IPOすることの利点とM&Aを比較して述べています。

その一方で、規模は様々ですがYahoo、Microsoft、Sun、MotorolaによるM&Aもあり9月21日から27日だけでもテクノロジー関連のM&Aは451Groupの統計によると55件に及んでいます。

さて、皆さんはこの数字をどう思われるでしょうか。IPOが増加し、M&Aとの分配が今後大幅に変わって形勢逆転すると思われますか?それともこのままM&A優勢で行くでしょうか?

私は数の面だけから見た場合、IPOが少数、M&Aが多数というトレンド自体は変わらないと思います。というか、多分、マーケットの状況を軸としたIPO vs. M&Aというこの種の問いは、ちょっと違うんじゃないだろうか、と違和感を覚えます。(自分でも問うたくせに拍子抜けな答えですみません)

確かにマクロの景気が良かったり、良質なIPOが続出した場合はIPO市場が活性化します。そうなるとIPOして然るべき企業は上場して、企業も株主もWinWinです。緩和が更に進み上場のハードルが低くなると、IPOして然るべきとは言えない企業まで上場してしまったりして後に調整される事になります。

この”然るべき”という視点が重要だと思うのです。

そもそも、これまでの歴史の中で(ブーム時を含めても)、生まれるベンチャー企業の数に対してIPOする企業の割合、更にはIPO以降継続して成功する企業の割合はかなり低いものです。運や経営能力やその他諸々の理由が複雑に絡みますが、根本的には、ある程度の期間継続して社会に価値を提供し得る企業を創る事は非常に難しいのです。

一方、IPOして然るべきという基準には満たない企業が次善策としてM&Aという道を選択するかのように言われる事がありますが、これは正しとは言えません。というのも、IPOにも然るべきがあるようにM&Aにも異なる基準での然るべきがあるからです。この基準を至極単純化して言えば、単体として長期の競争力がある企業体であってもなくても、どこかの企業の穴(戦略的或いは財務的に足りない部分)をなるべくピッタリな形で埋めることができる企業であることです。

よって、一つのベンチャー企業がある程度魅力のあるExitをしようとする際に、状況に応じてIPOするかM&Aするかの双方の選択肢が存在するとは限りません。むしろ稀です。マーケットの動向がどうであれ、M&Aには然るべきではあるがIPOには然るべきではない、IPOには然るべきだがM&Aには然るべきではない、或いはどちらにも然るべきではない、という企業が常に存在するのです。先にあげた問いはこの点を抜きにして二者択一的な問題提起をしているところが違和感の原因だと思います。

では、このような数値比較がある場合、他にどんな読み方があるか。

例えば、最近のベンチャー企業のタイプの差異、なんてどうでしょう。
起業し育てていく中で、Exitの方向を見据えて何に然るべき企業にしていくかという舵取りは可能です。例えば先日のわが投稿で述べたように、M&Aに焦点をあわせた企業創設が増えているとすると、M&Aの数が増加した場合、数値がそのトレンドを示しているという可能性もあるのではないでしょうか。

ちょっと抽象的過ぎたでしょうか?

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